昨日17日、中小企業庁のサイトにて第19次ものづくり補助金(正確には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」)の公募が始まったとの発表がありました。
公募期間は2月14日から4月の25日まで。申請の受付は4月11日から始まるそうです。その日は金曜日で開始時刻は17時とのことなので、実質は週明け14日からという感じですかね。
応募にあたっては相変わらずgBizIDプライムアカウントが必要になりますので、応募検討するかもだけどまだアカウント持ってないよ、という会社さんは早めの取得を準備ください(申請から取得まで数週間かかることもある)
さて、もうだいぶ歴史のある、ものづくり補助金ですが、中には初見の方もいらっしゃるかと思いますので、ものづくり補助金とは何なんだ、というところをひとつ。
ものづくり補助金は、中小企業が生産性向上を実現する革新的な新製品・新サービス開発や、海外需要開拓を行うために必要な設備投資経費の一部を補助する事業、となります。
副題として、生産性向上や持続的な賃上げに向けた、とありますので、今回19次では賃上げが結構強めのテーマとして掲げられている感じです。最近の政府系補助金は賃上げ推し活が盛んですね。
気になる補助金額ですが、大きく2つのタイプ(枠)に分けられています。
まずAとして、製品・サービス高付加価値化枠、次にB、グローバル枠です。
目的のお題目とおりの区分けですね。
ではAから。
Aの対象は革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等になります。
なので既存品の生産設備導入には使えません。あくまで新しいものやサービスに向けたものになります。
補助金額の上限は従業員規模で異なっていまして、
5人以下 750万円
6~20人 1,000万円
21~50人 1,500万円
51人以上 2,500万円
となります。補助率は1/2、小規模企業や再生企業は2/3です。
次にBですが、こちらは海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等が対象となります。少々わかりにくいですが、基本的には輸出目的ですね。ただ、インバウンド対応も含まれていますので、国内にあっても対象となる場合もあります。
毎度グローバル枠は競争率が低めなので、インバウンド向けの設備導入などを検討されている会社さんは狙い目かもしれません。
こちらの補助上限額は、従業員数に関係なく一律3,000万円です。
補助率はAと同様。
補助金上限については、賃上げ特例がありまして、大幅に賃上げした場合は補助上限を従業員数に応じて引き上げてもらえます。
5人以下 100万円
6~20人 250万円
21~50人 1,000万円
51人以上 1,000万円
また、最低賃金の引き上げ(最低賃金+50円が従業員の30%)に取り組む場合は、補助率が2/3に引き上げられます。
ちなみに"大幅"とは具体的にどれくらい?というところ、賃金の年平均成長率6.0%以上、事業所内最低賃金+50円となります。通常の要件よりかなり高い水準なのでなかなかですね。
人件費割合が多いような業態(飲食とか)はちょっと手が出ないかもしれません。
新事業進出補助金や省力化補助金などとくらべるとちょっと小粒な補助金額ですが、それでも1千万級の補助はなかなかな規模感です。事業再構築が出る前はこれでも一番大きい金額だったんですよね。
なので、他の補助金と比べると比較的通りやすいような気もしますので、投資額がそれほど大きくない場合は、競争率の激しいであろう他の補助金よりも、ものづくり補助金で勝負するのもよいかと思います。
さて、なにかと活用できそうなものづくり補助金ですが、要件もあります。
基本的には3~5年の事業計画を作って、その内容が以下4つの要件を満たす必要があります。
1.付加価値額を年平均3.0%以上増加させること
2.賃金を年平均2.0%以上または最低賃金の成長率以上に増加させること
3.事業所内最低賃金が都道府県最低賃金を30円以上上回ること
4.「両立支援のひろば」サイトに行動計画を公表すること(従業員数21名以上の場合)
ちなみに4.の行動計画公表は1~2週間期間を要するとのことなので、申請に間に合わせるためには4月の頭には都道府県の労働局に届け出る必要がありそうです。
グローバル枠について、上記の要件にプラスして更に4つの要件いずれかである必要があります。
1.海外直接投資であること
2.海外市場開拓(輸出)に関すること
3.インバウンド対応に関すること
4.海外企業と共同で行うこと
今回は賃上げについて監視の目が厳しくて、要件が未達だと補助金を返す必要が生じます。なので、計画だからいいだろ的に適当な数字を埋めておくとあとでえらい目に遭いますので要注意です。
その他細かい内容は以下ものづくり補助金ポータルサイトからご確認ください。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html
なお、採択発表は7月下旬ごろが予定されています。
以上、第19次ものづくり補助金公募開始のニュースでした。
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