中小企業庁は、10月29日、中小機構より2023年度の認定支援機関が実施した中小企業再生支援業務の評価報告を受けたと発表しました。
2023年度の重点ポイントとして、以下の5つがあげられています。
(1)収益力改善、事業再生、再チャレンジの総合的支援の実施
(2)「中小企業の駆け込み寺」機能の強化
(3)真に事業者のためになる支援の実施
(4)民間支援専門家、関係支援機関との実効的な連携を通じた地域における支援の最大化
(5)中小企業の持続的な成⾧支援と企業価値の向上の実現
それぞれのポイントについて、結果と寸評を以下記載したいと思います。
(1)収益力改善、事業再生、再チャレンジの総合的支援の実施
↓
(2)「中小企業の駆け込み寺」機能の強化
>窓口相談対応件数増加目指す
・事前相談受ける取り組み強化
・広報活動、営業店レベルのアプローチ、飲食・宿泊事業者への周知
↳前年度比378件増(6,409→6,787件、内事前相談3,393→4,783と1,390件増、内その他支援機関前年比356件増)
⇒全体としては増加しているが、中小企業直接相談はむしろ減っている(中小企業直接相談割合39.4%)
(3)真に事業者のためになる支援の実施
>体制強化目指す
>迅速対応、収益力改善支援、再生支援、再チャレンジ支援
↳支援完了3,499件
↳収益改善支援942件、再生支援1,029件(前年比-38件)
↳抜本再生案件完了件数144件(前年比+13件)(内債権放棄132(内自主再建19,スポンサー支援113)、DDS12)
↳DDSは減少傾向、スポンサー支援増加
⇒再生支援は減少したが、スポンサー支援は増加しており、M&Aの一般化が垣間見える
↳再チャレンジ支援1,239件(前年比+385件)
↳2022年から急増(21年224→854→1,239)
↳経営者保証GL活用保証人数一体184名+単独128名(各前年比+20、+36)と増加傾向
⇒経営者保証ガイドラインも一般化してきた
↳経営改善策定支援(405事業)2163件(前年比+185件)
↳早期経営改善策定支援748件(前年比-1,310件)
⇒405事業は相変わらずの多さ。金融機関からの勧めが多いと思われる(手数料キックバック)
(4)民間支援専門家、関係支援機関との実効的な連携を通じた地域における支援の最大化
・経営改善計画作成支援事業の活用
・事業承継引継ぎ支援センター、よろず支援拠点、保証協会・経済産業局、再生系サービサー、年金事務所、税務署等との連携
↳紹介受件数374件(前年比+171件)、引渡件数551件(前年比+231件)
↳民間支援専門家紹介件数614件(前年比+389件)
⇒民間支援紹介の増加が目立つ。質の担保等難しいかと思うが良好な紹介取組みに進んでほしい
・支援人材、認定支援機関の育成
↳助言支援(405事業4,550件、プレ405事業2,326件)
⇒アドバイスということと思うが、実際の支援レベル感は不明
(5)中小企業の持続的な成⾧支援と企業価値の向上の実現
ガバナンス体制整備支援
↳?
⇒触れられておらず、進んでいないものと思われるが、中小企業とガバナンスは相性は良くない(オーナー社長にとってだれのためのガバナンス?)
●都道府県による取り組み差異(A~D評価)
東京 A
神奈川 B
千葉 B
埼玉 C
茨城 B
栃木 A
群馬 B
山梨 B
新潟 A
長野 C
関東甲信越では埼玉、長野の評価低い
認定支援機関を活用した再生計画策定・実施を検討している企業さんは、自社地域の認定支援機関の取組みレベルを参考にしていただいて、低い場合には他地域のコンサルタント活用なども合わせて考えてもいいかもしれませんね。
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