事業再生コンサルコラム 2025年1月22日号

資金使途違反に気を付けよう

皆さん、資金使途違反という言葉は聞いたことがありますか?

聞いたことがある、というかたはなかなかの借入通(そんな言葉があるかわかりませんが)ですね。

 

資金使途違反とは、銀行からの借入金に関係することでして、銀行へ融資を申し込む時に伝えた資金使途(資金の使い道)を守らず、融資で得た資金を別のことに使うことをいいます。

 

これ知らなくてやっちゃう会社さんがボチボチいらっしゃるんですよね。知っててやっちゃう方はそれ相応の肝っ玉と交渉の術を持ち合わせてらっしゃる猛者、ということになろうかと思います。

 

 

資金使途というとその内容は大きく分けて2つ、運転資金と設備資金になりますね。

運転資金とは、材料を買い、売上げ、支払い、回収という流れのなかで支払から回収までのサイクルで必要となる資金をいいます(売上の回収前に先に払いがくるので必要なお金)

設備資金は、そのまま何某か機械なり建物なりの購入資金です。

 

この使途によって、金利が決まったり、返済期間や返済額が変わってきたりするわけです。

貸した銀行さんとしては、この使途が違ってくると貸した条件の前提自体が変わってきちゃうので、「マジ勘弁して」ということになります。

 

資金使途違反をすると何が起こるか

いざ銀行に資金使途違反とみなされると、資金使途違反した融資の一括返済を求められたり、その後は融資を受けられなくなることが生じます。また、資金使途違反した融資が信用保証協会保証付融資だった場合、他の銀行で信用保証協会保証付融資を申し込んでも、審査が通らなくなります。

 

これはキツイ。ある意味もう銀行から借りれない、使えない宣告です。

 

【資金使途違反に対する銀行の対応例】

・融資全額の即時一括返済を求める

・資金使途違反に該当する金額の繰上返済を求める

・資金使途違反の資金を元に戻すように求める

・今後二度と融資はしない

・信用保証協会にも報告を行う

 

運転資金が多くかかる事業はもちろん、新たな設備投資もままならず、事業成長にあたって必要な資金はノンバンクなど銀行より調達コストの高い(金利が高い)金融機関から調達しなければならなくなります。

 

資金繰りが苦しいような状況では最悪、倒産(口座凍結、手形不渡り)という事態も招きかねません。

 

これを分かっててやる猛者・確信犯は置いておいて、注意しなければならないのは、うっかり資金使途違反です。知らず知らずのうちに違反してしまって後から指摘され、先述のような事態となっては目も当てられません。

やってしまいがちな資金使途違反

とはいえ、やると違反となってしまうことと、本来すべきやり方の違いを知らなければ、なかなか知らずの違反から逃れることは叶わないかと思います。

 

以下やってしまいがちな資金使途違反をいくつかご紹介いたしますので、ぜひ参考になさっていただいて、知らぬうちに違反とならぬようご注意ください。

 

×設備資金の融資が入金される前に購入先に代金を支払う

○融資が入金された後、その資金で設備の購入先に代金を支払う

 

×後から必要金額が減少した

○融資の審査中や、審査がおりても融資実行前に銀行に相談

 

×設備の購入先から後で返金された

○水増し発注後一部返金を受けることで自由資金とするのはダメ

 

×決算書の貸借対照表の貸付金勘定などが増えた

○融資金が結果的に社長への貸付金に流れたと見られないように

 

それでは、資金使途違反には気を付けてまいりましょう!

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