事業再生コンサルコラム 2024年9月27日号

横領しにくい仕組みを作ろう

今回は少々物騒な話。横領についてです。

横領なんて起きても嫌だし、考えたくもないような話ですが、意外とちらほらとあるものです。

酷い場合は会社自体がつぶれてしまうこともある横領について、今回は見ていきたいと思います。

 

さて、横領とは、皆さんご存じのとおり、刑法に規定される犯罪です。

他人のものを自分が持っている場合に、これを自分のものとすることを横領といいます。

これが仕事でのこととなると、業務上横領という罪になります。業務上横領は10年以下の懲役ですが、被害額によって量刑は少なくなるようです。(参考例:被害額3千万円なら3年の実刑)ちなみに、横領での検挙数は年間で7千件弱、逮捕まで至ったものは1千件超となっています。(2022年検察統計より)

 

業務上横領とは

業務上横領とは会社のものを自分のものにする、会社のお金を自分の懐にいれてしまうことをいいます。

手段としては、現金を引き出し着服するもの、キックバックによるもの、物品の横流しによるもの、の大きく3つに分かれるようです。

 

その一類型である現金引出しでの着服では、お金にアクセスできる経理部門において起きることがほとんどです。古くはアニータ事件(青森県住宅供給公社の経理担当主幹が14.5億円を横領)が有名ですね。中小企業でいうと、運送会社の女性経理担当者が16年間で11.5億円を横領したとして逮捕されています(岸運輸事件)。

 

キックバックとなると、楽天モバイルの横領事件が記憶に新しいところです。こちらは物流管理部長が取引先と結託し、水増しした委託料を戻していたものです。キックバック額は100億円とも言われています。本来監視役である責任者自体が罪を犯しては管理のしようがありませんね。

 

横領されて倒産も

横領犯はその隠ぺいのため、架空の経費、費用を過大計上し、つじつま合わせをします。

架空の費用が多くなっているわけですから、損益上は売れてる割には儲からない、売上の割に費用が多く、利益が出ない状況となっています。ある意味異常値ですから、財務データを一般値や過去値と比べる等して、細かに見ていれば気付けるとも言えます。

 

そしていざ横領が明るみに出ると、会社にとっては税という名の往復びんたがやってきます。

隠ぺい用の架空経費が否認されると、これが損金不算入とされ、利益の過少申告(架空経費により納税額が少なくなっていた)となり、追徴課税という事態に陥ります。

 

10億円の横領であれば、4億円もの税金を納めなければなりません。

そもそも横領され現金は薄くなっているところ、急にそんなお金など用意しようもありません。

下手をすれば資金難で倒産です。

 

実際に会社が潰れるときにはこのような話がよく出てきます。

抑止策として、経理業務のダブルチェック体制の構築やブラックボックス化の回避、通帳データの定期的な確認などをいたしましょう。

人は弱いものという前提で、“できない・しにくい”体制作りがポイントです。

 

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