経理が先月の試算表を持ってきました。
(経理)「社長、先月の試算表が出来ました。先月は黒字です。」
経理が言うに会社は黒字だそう。
(社長)「そうか、ご苦労さん。黒字化か、よくやった。」
(経理)「原価率も削減できました。」
(社長)「原価も下がったか、努力の成果が出たな。」
社長さんは、「先々月の赤字改善を指示した効果が出たな、よしよし。黒字なら問題ないぞ。原価率も改善したようだし、ひと安心だな」と満足げです。
黒字の内容をしっかり確認せず、上がってきた試算表をロクに見ないで、しまってしまいました。
しかしこの後、この社長さんは会社が倒産するかしないかの瀬戸際に立たされることになります。黒字化できていたのに。原価率も改善したのに。
一体なぜなのでしょう?
普通、黒字とか赤字とかいいますと、損益上の話になります。
営業利益で黒字とか、経常利益で黒字、税後で黒字とか。
事業成果という意味では、損益の数字が判断資料となります。
先月はいくら「利益」が出たか、という観点ですね。
赤字より黒字の方が良いですよね?と問われれば、ほぼ皆さん全員イエス、と答えられるでしょうし、確かにその通りです。
しかし、先の社長さんは黒字なのに倒産しそうになったわけです。
ということは、あながちそう(黒字であればOK)とも言い切れない、ということは勘の良い方はピンときますね。
一方、開発型のベンチャー企業などで赤字を流し続けているのに倒産していない会社もあります。
製薬系のバイオベンチャーなどは毎年ウン十億とかいう赤字です。
で、なぜだ、という話。
結論から言うと、お金を持ってればいくら赤字でも潰れない、お金が無ければ黒字でも潰れる、ということです。
さて、先述の黒字で喜んでいた社長さんの会社は、なぜ倒産の危機に陥ってしまったのでしょうか。
次に、その流れを見ていくことにします。
池田輝之
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