さて、次に出てくる疑問は「銀行取引停止」って何だ?ということですね。
これは東京手形交換所規則・施行細則第4章に詳しく書いてあります。
第62条 手形または小切手(この章において「手形」という。)の不渡があったときは、約束手形もしくは小切手の振出人または為替手形の引受人(以下「振出人等」という。)に対して、この章の定めるところにより、取引停止処分をするものとする。
2 参加銀行は、取引停止処分を受けた者に対し、取引停止処分日から起算して2年間、当座勘定および貸出の取引をすることはできない。ただし、債権保全のための貸出はこの限りでない。
取引停止とは、2年間当座を使えなかったり、借入をすることができなかったりすることをいうわけですね。
さて、ではどういった場合に取引停止になるのでしょうか?
第65条 不渡報告に掲載された者について、その不渡届に係る手形の交換日から起算して6か月以内の日を交換日とする手形に係る2回目の不渡届が提出されたときは、次の各号に掲げる場合を除き、取引停止処分に付するものとし、交換日から起算して営業日4日目にこれを取引停止報告に掲載して参加銀行へ通知する。
一 不渡届に対して異議申立が行われた場合
二 交換日の翌々営業日の営業時限(午後3時)までに第68条【不渡報告および取引停止処分の取消】第1項または第2項に規定する取消の請求があった場合
2 第62条【取引停止処分】第2項の取引停止処分日は、前項による通知を発した日とする。
6か月以内に2回の不渡りを出したら取引停止となるんですね。
不渡りとは振り出した手形が資金不足等により決済できないことをいいます。
これで倒産への道筋(こういう表現が妥当かは置いておいて)がわかりました。
ここまでの中で倒産を怖がらなければならないのは、
・手形を振り出していること
・手形を決済(支払う)だけのお金がないこと
・しかもそれが6か月以内に2回起きそうなこと
以上の場合ですね。
買掛金が支払えなくても、給与が支払えなくとも、「倒産」はしないんです。
会社に押しかけてきたり、従業員の退職が相次いだりすることはあるかもしれませんが。
「資金的に厳しい状態」と見られるだけです。
世間から倒産とは言われないので、続けたいと思えば続けられるわけです。
お金が続くかぎり・・・。
そう、お金、資金、キャッシュ。
これが枯渇すると世間から倒産と言われなくとも会社を継続することが難しくなります。
事実上の倒産状態ですね。
資金の枯渇、資金ショート。
斯様な事態が生じるのを防ぐことが倒産を避けるためのただ一つの方策です。
ではどうやって?
資金が足りなければキャッシュを増やす方策をとらねばなりません。
でも、「いつ」「いくら」足りないのかは資金繰り表が無ければ明確にはわかりません。わからなければ対応もできません。タイミングを逸すれば資金が枯渇し倒産してしまいます。資金繰り表は資金状況の把握に大変重要なものであることは容易にご理解いただけるものと思います。
さて、資金繰り表が倒産回避にいかに重要かご理解いただけたところで、また次回(少々前置きが長くなりましたが)資金繰り表についてお話していこうかと思います。
池田
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