経営コンサルタントコラム 2013年5月20号

ワンマン経営の功罪(その1)~組織的特徴

中小企業の社長は創業者&オーナーであることがほとんどです。

今現在は売上に比べ過大な債務を抱えている社長さん(私がよくお会いする皆さん)も、つい最近まではやり手社長と噂されるような方であった方がほとんどです。

過剰債務になるほどお金が借りられたということは、反面、借り入れ当時は業績が伸び、信用も得られていたからこその話ですからね。

 

さて、そのような社長の会社の組織構造の傾向はというと、上意下達・トップダウンのワンマン形式となっていることがほとんどです。大抵、社長一人で創業し、業務が忙しくなって人を雇う、という流れで成長してきた会社がほとんどですから、ある意味これは当り前の傾向ですね。

 

組織内部的特徴は、というと、業績が伸びている会社の「できる」社長さんですから、「できる」社長の言うことを(ある意味、言うこと「のみ」を)黙って、粛々と、効率的にやるような組織形態となっていることが多いようです。

 

下手に意見をするとすぐ「クビ」にされたり、降格されたりしますから、社員も余計なことは言いません。とはいえ、意思反映については効率的に動く組織なので、社長が波に乗っているときは、目覚ましい成長を見せます。魚がいる場所に鵜匠が船を進めれば、鵜はどんどん魚を捕ります。魚がいる場所を鵜匠が知っていれば。

 

となると、不要なもの、使わないものは退化していくわけですから、ワンマン経営者の下では、自分で考える、という観念が組織から無くなっていきます。保守的な、縦割り的な、閉鎖的で全社的思考をしない組織になっていくわけですね。

 

社長さんからすると、「うちの社員は何も考えてない」「やる気が感じられない」「自分のことしか考えていない」ということになるわけですが、ワンマン軍隊組織で元々社員の意見を受け入れていないわけですから、そのようになるのは逆らえない、自然の流れです。

 

ワンマン社長さんは、もともと管理されたり、人に指示されたりするのが嫌いで独立したようなタイプの方が多いように見受けられます。なので、自分の会社の社員にも、自分と同じように、野心的でやる気に満ちた、自由闊達な行動を求めます。

 

しかし、社長の意に反して、そのような企業の社員さんは、中小企業であっても、とても保守的で官僚的です。部門間連携はできていませんし、責任の所在も曖昧です。下手をすると大企業の方がその辺イージーで柔軟に動いているかもしれません。

 

ワンマン社長の下では、ミスが起きたときに誰の「せい」でもないようにしておく必要があるわけです。でないとすぐクビや降格など、自分の生活に直接的な影響が出てしまう事態を招いてしまうことになりますから。ある意味、大企業ほど身分が安定しておらず、転職のハードルも高い、中小企業の社員さんが斯様に保守的になるのは理解できますね。

 

ついては、中小企業ならそこまで要らないだろうというほどの書類手続きや内部稟議手続があったりします。さらには、部門間での責任の押し付け合いなどをという、ある種「せせっこましさ」があったりするのですね。

 

そのような組織的爆弾を抱えながらも、「できる」社長さんさえ間違わなければ、社員さんは社長の意思を忠実にこなしていきますので、業績は上昇カーブを描いて成長していきます。

 

次回、そのリスクについてお話していきます。

 

池田

 

 

 

 

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