事業再生コンサルコラム、今回の内容は、国の考える中小企業支援施策です。
2022年9月8日、経済産業省は、「中小企業活性化パッケージNEXT」を策定したことを発表しました。中小企業活性化パッケージNEXTとは、経済環境の変化を踏まえた資金繰り支援の拡充と収益力改善・事業再生・再チャレンジの更なる加速を図るものです。本パッケージにもとづき、いろいろな活性化施策が展開される予定です。
銀行もこのような施策に従って動いていますので、銀行対応が気になる方はチェックしておきましょう。
こちらNEXTとついていますので、その前があるわけですが、それは本年3月に公表された「中小企業活性化パッケージ」になります。※パッケージ、なのでいろいろな施策の集合体となっています
この施策パッケージで資金繰り支援、収益力改善・事業再生・再チャレンジ支援などやろう、ということだったのですが、時流の変化や実際の活動により不足も見えてきたので、NEXTができた、という流れと思います。
さて早速、公表の翌日の9月9日には、経産大臣、財務・金融担当大臣などから金融機関に対し、当該パッケージNEXTを踏まえた対応を要請されています。(つまり「やれ」ということ)
で何を要請したかというと、7つありまして、まとめると、
1.事業者に最大限寄り添ったきめ細かな支援を引き続き徹底すること。
2.既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応の継続すること。
3.債権の区分について金融機関の判断を尊重していることを踏まえ、事業者に寄り添った資金繰り支援に努めること。
4.実質無利子融資及び新型コロナに関する融資が本年9月末に申込期限を迎えることを踏まえ、顧客への周知や、駆け込みの申込みに対応可能な態勢の整備
5.貸し渋り、貸しはがしを行わない、伴走支援型特別保証や、スーパー低利・無担保融資を活用すること。
6.官民金融機関、信用保証協会、中小企業活性化協議会、REVIC等の支援機関が密に連携し、「中小企業活性化パッケージNEXT」に掲げられた施策を活用すること。
7.REVIC等が出資するファンド等の組成・活用について真摯に検討すること。
とこのようなことになります。
いろいろありますけど、貸し渋ったり回収に走ったりするなよ、パッケージNEXTあるのわかってるだろ?ということですね。
基本これに反することを金融機関がすることはありませんので、急な貸しはがしなどはない、という考えで取り急ぎはよろしいかと思います。(もし担当がそのような対応をしたら、金融機関にとってもとんだ○○なので、上長を呼んで優しく教えてあげましょう)
話を戻しまして、、
「NEXT」は何がNEXTなのか、というところですね。
大きくわけて2つ、
Ⅰ.経済環境の変化を踏まえた資金繰り支援の拡充
と
Ⅱ.中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援の更なる加速
となります。
以前のパッケージではちょっと足らず、使われ方も徹底していないので、そこを押し上げるよ、という内容に思います。
とはいえ、検討や要請、今後とりまとめ、といった、まだ決まってません的な内容もちらほらあり、今後の進捗に期待、ということもありますが、いくつか注目すべき内容もありましたので以下2点を紹介しておきましょう。
〇収益力改善支援実務指針の策定
➝ 支援機関向けに、収益力改善支援の実務指針を策定。経営改善計画策定支援事業と連携し、実効性を確保。
収益力改善支援とありますが、なにか儲かる話を持ってきてくれるわけではなく、収益力改善の事業計画作りです。通り一遍のリスケ資料ではなく、アクションプランのついた実行性の高いものを作るそうですが、、、
書式を見ると経営改善計画の簡易版、というところですね。
お題目作ってもやるとこまでいかないのが難しいところと思います。
また、モニタリングするとありますが、どの程度力を入れて詰めていくのか、気になるところです。
ほかに注目ポイントとしては、
〇経営者の個人破産回避に向けた取組の促進
➝ 再チャレンジのネックとなる個人保証について、個人保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策を本年中にとりまとめ。
➝ 融資先の廃業時等に「経営者保証に関するガイドライン」 に基づく保証債務整理を行った割合を把握するなど、金融機関に対して、よりきめ細かいフォローアップを行う。
があげられるかと思います。
いろいろと書かれていますが、こちらは期待薄ですね。
担保権者たる金融機関がおいそれとは一旦受け取った権利を手放さないからこそのフォローアップとは思いますが、どうでしょう?新規はあるにせよ、既存の連保外しはきびしいでしょうね。
その辺は官僚の方もわかっていて、旗印は降ろさないまでも、短期的な解決は諦めていて、新規からゆっくり変えていくしかないな、というところでしょうか。
最後に一点気になるものが、再生ファンドの組成や活用をずいぶんと促進している点です。
ファンドが入るということは、銀行が処理するという意味ですから、貸付先の一定数はソフトランディング的な再生をあきらめることもやむを得ない、と考えていると思われます。
個人破産への言及含め、ポストコロナは優勝劣敗の流れ、弱者救済は難しいと、線引きされることはある程度覚悟しておいた方が良いかもしれません。
それも踏まえて、今からしっかり、対策をとっておきましょう。
以上、池田でした。
【資料】
・中小企業活性化パッケージNEXT(経産省)
https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220908001/20220908001-1.pdf
・中小企業活性化パッケージ(経産省)
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220304006/20220304006-1.pdf
・「中小企業活性化パッケージ NEXT」を踏まえた事業者支援の徹底について(要請文)
https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220909006/20220909006-1.pdf
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