池田ビジネスコンサルティングの池田です。
今回は令和3年最初の事業再生コンサルコラムとなります。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、新型コロナ渦中、昨日から通常国会が始まりました。
コロナ対応含めて短期・長期さまざまな視点から国の行く末を考え、議論をいただければと思います。
いろいろ施策はあるにせよ、何をするにしてもお金が必要です。
お金がなければ何もできません。
とはいえ、税収など収入は限られているので、どこにどれだけ振り分けるか、がポイントになります。
つまり、予算の大小で国の注力度合いがわかってくるというわけです。
予算を見れば、国の指針、方向性、意図が見えてくるはずです。
政府支出も伴うわけですから、お金がどこに流れていくか、どの分野、業種に需要が生まれてくるのかも予算案から想像できますね。
そこで、これから国会で審議されていく経済産業省関係の予算案について、見ていくことにしましょう。
早速資料を読んでいきます。
まず、経産省全体の予算は、5兆9,221億円(R2年度3次補正4兆6,688億円+R3年度当初予算1兆2,533億円)となっています。
R2年度の当初が1兆2,624億円ですから、3次補正がバカデカイことがわかります。
なぜこんなに大きくなっているかというと、中小企業対策(一般会計)とカーボンニュートラル基金(特別会計)です。ざっくり、それぞれ2兆円ずつ昨年度と比べ増加していることに起因しています。
さて、大きな予算方針を見ていきますと、3つに分けられます。
一つ目は、「新たな日常」の先取りによる成長戦略です。
ウィズコロナ/ポストコロナ時代に求められる構造転換に向け、長期視点に立った日本企業の変革を後押し・加速する、という一番のところですね。
次に、国内政策と一体となった対外経済政策、最後は、最重要課題︓廃炉の安全かつ着実な実施/福島の復興を着実に進める、です。
3次補正で手当てされているのはほとんど一つ目の「コロナ禍での成長戦略」部分です。(割合でいうと、96.4%)
この成長戦略予算部分はさらに以下5つに区分されます。
1.デジタル改革
2.グリーン社会の実現
3.中小企業・地域
4.レジリエンス、健康・医療
5.人材育成、イノベーション・エコシステムの創出
それぞれ振り分けられている予算の順番に並べるとこうなります。
2.グリーン社会の実現(2兆4,853億円、総予算比40.4%)
3.中小企業・地域(2兆3,173億円、37.6%)
4.レジリエンス、健康・医療(5,862億円、9.5%)
1.デジタル改革(4,270億円、6.9%)
5.人材育成、イノベーション・エコシステムの創出(1,170億円、1.9%)
経産省全体の中でも96%が成長戦略部分で、またその81%がグリーン社会の実現と中小企業・地域対策に振られています。
グリーン社会の実現と中小企業対策をもう少し具体的に見ていくと、
(グ1)脱炭素化に向けたエネルギー転換(2兆4,832億円、40.3%)
(グ2)循環経済への転換(21億円、0.0%)
(中1)「新たな日常」下での中小企業支援(2兆3,071億円、37.5%)
(中2)地域経済の強化と一極集中是正(102億円、0.2%)
となっています。
エネルギー転換と事業再生等中小企業者支援がほとんどであることがわかります。
エネルギー転換と中小企業支援の二点についてさらに分類して個別具体的な分野をあげると以下となります。
(エネルギー転換)
・カーボンニュートラル基金創設(2兆円、32.5%)
・石炭火力CO2削減、ゼロエミッション電源活用(1524億円、2.5%)
・エネルギー効率向上促進(1,294億円、2.1%)
・蓄電、次世代太陽電池、洋上風力(811億円、1.3%)
・水素発電技術開発(707億円、1.1%)
・製造プロセス転換支援(501億円、0.8%)
・CO2分離回収合成燃料、CCUS技術開発(453億円、0.7%)
・EV,FCV導入支援、サポカー、自動運転社会実現(249億円、0.4%)
・アジア等途上国エネルギー貢献(5億円、0.0%)
(中小企業対策)
・新分野、事業業種業態転換、再編中小企業支援(1兆1,485億円、18.7%)
・コロナ無利子融資、信用保証、政府系金融融資創設拡充(8,931億円、14.5%)
・ものづくり、持続化、IT導入補助金(2,435億円、4.0%)
・事業引継ぎ支援センター、中小企業支援協議会(198億円、0.3%)
・よろず支援拠点、経営相談(104億円、0.2%)
・取引Gメン調査(37億円、0.1%)
となっています。
基金の創設が2兆円と大きくなっていますが、使い切るか、切れるかどうかはまだわかりません。(相手のあることですし)
となると、事業再構築支援補助金、モノづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金での2兆416億円はとんでもない規模です。
毎年のものづくり補助金の予算でさえ1000億円なのですから。
さらにいえば、基金と違ってこちらは基本使い切り。それだけ世の中にお金が流れることになります。特に事業再構築支援補助金は1兆円を超えるという、これはとてつもない規模ですね。
積極的な業種業態転換を促しているわけですから、国としては、ある意味、飲食店がある程度潰れるのは致し方なし、事業再生、再構築を促そうとしているとも捉えられます。
つまり、飲食業がこれまでのまま、事業を続けていてももう助けることはできないよ、なにか別のこと考えようね、という姿勢です。
逆にいうと、異分野、新分野に進出しよう、変わらなきゃいけない!と思っている飲食業等コロナで経営に打撃を受けている経営者にとっては、大応援団が来ているようなものです。
国会通過前なので詳細はまだ明らかになっていませんが、うまく活用していきたいですね。
最後に今回の経産省予算の個別分野別に予算の大きい順から5つ挙げておきます。
1位 カーボンニュートラル基金創設(2兆円、総予算比32.5%)
2位 新分野、事業業種業態転換、再編中小企業支援(1兆1,485億円、18.7%)
3位 コロナ無利子融資、信用保証、政府系金融融資創設拡充(8,931億円、14.5%)
4位 ものづくり、持続化、IT導入補助金(2,435億円、4.0%)
5位 IT導入サポート(中小企業のDX推進)(2,382億円、3.9%)
補助金を活用しようという会社さんはもちろん、補助金に付随して仕事が発生しそうなシステム屋さんや機械設備屋さんにとってもチャンス到来かもしれません。(補助金絡めた提案の仕方もあるでしょうね)
一方、5Gだデジタルだーと成長戦略のイの一番にあげた割には、その分野にはあまり予算を振り向けていません。(デジタル改革分野でもほとんどが中小企業へのIT支援対策費)
最先端のIT研究・開発よりも中小対策、SDGS・CO2削減が国の流れでしょうか。
我々市井の商売人は、思想より実益。
どんな政治体制であれ、生きていかねばなりません。
川の流れを読んで、上手に泳いでまいりましょう。
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