事業再生コンサルコラム 2021年3月10日号

一時支援金について

売上減少額と給付上限

事業再生コンサルのコラム、今回は一時支援金のお話です。飲食店時短営業や外出自粛の影響で売上が減少した中小企業、個人事業者に対する一時支援金の申請受付が一昨日3月8日から始まっていまうす。

 

一時支援金とは、ざくっといいますと今年の1月~3月で売上が減った分をくれる、というものです。

 

ただ、給付上限が中小法人等で60万円、個人事業者で30万円となっていまして、すべての減少分を賄ってくれるわけではありません。

 

金額としては、飲食店がもらえる協力金は一日6万円ですからね。1/8から3/7の2か月間で392万円と比べると少ない感じが否めません。(飲食店と取引している業者は飲食店より規模が大きく伴い自粛の影響もでかいはずですが)

 

これを元手に事業再生、というには足らない金額ではありますが、一円を笑う者は一円に泣くともいいます。いただけるものはありがたくいただいておきましょう。

 

さて、この給付額ですが上限、ということで計算方法があります。

 

給付額=(2019年又は2020年の対象期間の合計売上)-(2021年の対象月の売上×3ヶ月)

 

対象期間は1~3月、今年の対象月は1~3月の間で売上が50%以下となった月を選んでよい、ということになっています。

 

なので、この給付額の算式は、今年の1~3月のいずれかの月売上の3倍を、一昨年か去年の1~3月売上合計から差し引いた額、という意味ですね。

 

そもそも売上が50%以上減少していることが要件ですから、去年は月40万の売上だったけど今年は月20万円になっちゃったような場合が上限60万円ピッタリのパターンとなります。

 

一昨年or去年

1月売上40万

2月売上40万

3月売上40万

計120万

 

今年

1月売上30万

2月売上20万←50%減(対象月)

3月売上40万

 

(一昨年or去年の売上計120万)-(2月売上20万×3)=60万円(上限)

 

個人事業者の場合はこの半分、上限が30万円になります。

2019年や20年に開業した会社や事業者さんの場合は、平均月売上の3倍を差し引き対象にする格好です。

 

給付対象のポイントと対象事業者例

ここで給付対象のポイントを整理しておきましょう。

 

1.緊急事態宣言による飲食店の時短営業または外出自粛等の影響を受けていること

2.2019年または2020年と比べて、2021年の1月、2月、3月いずれかの売上が50%以上減少していること

3.業種や所在地はなんでもどこでもOK

4.中小法人の規模は資本金等10億円未満

5.個人事業者もOK(雑所得や給与所得で申告している人も含む)

6.協力金(例の一日6万円のやつ)対象外の飲食店はOK

7.店舗単位ではなく、会社単位、事業者単位

 

と、このような感じです。売上半減とはなかなかに事業再生の局面まで至ってるのではないかと思われますが、それにしては上限金額が乏しい。どちらかというと小規模事業者さんへの施策感が強いのかもしれません。

 

さて、「飲食店の時短営業や外出自粛等の影響を受けた」事業者ですが、発表になっている想定事業者例を以下あげてみます。

 

食品加工や製造業関係ですと、

・惣菜製造業

・食肉処理、製品業

・水産加工業

・飲料加工事業

・酒造業 等

 

器具・備品販売系では、

・食器

・調理器具

・店舗の備品

・消耗品 等

 

サービス系では、

・接客サービス業者

・清掃事業者

・廃棄物処理業者

・広告事業者

・ソフトウェア事業者

・設備工事業者 等

 

流通関連では、

・業務用スーパー

・卸仲卸

・問屋

・農協漁協

・貨物運送事業者 等

 

があげられます。

農業者、漁業者、器具・備品製造事業者 等の飲食品・器具・備品等の生産者もあてはまります。

 

外出自粛の影響を受けている事業者例としては、

 

旅行関連事業者として、

・飲食事業者(昼間営業等の飲食店等)

・宿泊事業者(ホテル、旅館等)

・旅客運送事業者(タクシー、バス等)

・自動車賃貸業

・旅行代理店事業者

・文化娯楽サービス事業者(博物館、美術館、動物園、植物園、水族館、公園、遊園地、公衆浴場、興業場、興業団等)

・小売事業者(土産物店等)等

 

その他の例としては、

・文化・娯楽サービス事業者(映画館、カラオケ等)

・小売事業者(雑貨店、アパレルショップ等)

・対人サービス事業者(理容店、美容室、クリーニング店、マッサージ店、整骨院、整体院、エステティックサロン、結婚式場、運転代行業等) 等

 

というところ。

また、これらの事業者と取引がある場合もOKです。

 

発表になっている例にはありませんが、マンション販売や建売、戸建て注文住宅など建設不動産もあてはまるような気がしますね。実際来場者、来展者も減っているわけですし。自粛の影響はあるかと思います。

 

申請手続きの流れと必要書類

対象になるな、と分かれば次は申請手続きになるわけですが、その流れをご紹介しましょう。

 

1.事務局HPでアカウント申請登録

2.書類準備、事前確認予約

3.事前確認

4.書類準備、申請

5.審査

6.受領

 

申請前に事前確認を受けるのが特徴的です。

持続化給付金の不正受給があったので、それを防ぐためなのでしょう。

 

事前確認ができるのは登録確認機関となっていまして、商工会などの団体や認定経営革新等支援機関、税理士・会計士などの資格者で機関登録されたところになります。

顧問の税理士さんが登録してくれていたらスムーズですね。

 

しかし、先述の不正受給では税理士さんが結構かかわっていたようですけど、資格者だからということで良いのかなと思ったりもします。余談ですが。

 

事務局WEBサイトはこちら↓のリンクからどうぞ。

https://ichijishienkin.go.jp/

 

ちなみに申請にあたり必要な書類は以下となっています。

 

1.確定申告書類

2.対象月の売上台帳など

3.履歴事項全部証明書

4.通帳の写し

5.宣誓・同意書

6.一時支援金に係る取引先情報一覧

 

いずれもスキャンや撮影した画像での提出でOKです。

履歴事項全部証明書はいわゆる会社謄本ですね。こちらは法務局で取得できます。

確定申告書や売上台帳は税理士さんにお聞きすれば揃えてくれます。(自社でも保管していると思いますが)通帳の写しは支援金の振込先確認用です。

 

その他、提出は必要でないものの保存しておかなければいけない書類が、申請者の種別によりいくつか指定されています。

 

共通するのは、反復継続した取引を示す「帳簿書類及び通帳」。

いわれなくとも保存しているものですね。

 

飲食店営業自粛の影響が直接でなく間接的な場合、

・販売・提供先が宣言地域内の卸売市場又は流通事業者である、又は宣言地域内に所在する同飲食店、卸売市場又は流通事業者と反復継続した取引を行っていることを示す書類・統計データを保存しておく必要があります。こちらは帳簿をちゃんとつけていれば当然に保管されているものかと思います。

 

外出自粛の影響関係ですと、

・商品・サービスの一覧表、店舗写真、及び賃貸借契約書若しくは登記簿)

で、要はどういう商売なのかわかる資料ということですね。

 

また、宣言地域外の場合は、

・旅行客の5割以上が宣言地域内から来訪している市町村等であると分かる統計データ

・宣言地域の個人顧客と継続した取引を行っていることが分かる、顧客データ・顧客台帳又は自ら実施した顧客調査の結果

の資料の保管求められています。

 

いろいろありますが、つまりは、自社が対象者だと判断できた資料を持っておけばよい、ということです。 

 

以上、一時支援金の概要についてご案内してきました。

 

より詳細な情報を得たい方はこちら、

https://www.meti.go.jp/covid-19/ichiji_shien/index.html

経産省の一時支援金サイトにて確認ください。

 

なかなかコロナも治まらないですが(尾身先生は制御できたというまで2年くらいかかるなんてお話されてました)、様々でている国の制度を上手に使ってなんとか事業再生へ繋げてていきたいですね。

 

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