事業再生コンサルコラム、今回はテレワーク、在宅ワークの話題。
さて、新コロナ感染症の流行で緊急事態宣言が発令され、出社やオフィスで皆が集まっての就業が難しくなった4月、5月。在宅ワーク必至の状況となりましたが、皆さんはどのように対応されましたか?
個人的には雑談のなかに気づきやヒントがあると考えているので、なるべく顔を合わせて仕事したほうが良いんじゃないかな、とも思いますが、さはさりながら、相手は伝染病。社会でなんとか抑え込もうとしているのにクラスターなどになっては元も子もありません。在宅ワークも積極的に考えざるを得ませんね。
通勤ストレスがない、むしろ効率が良い、などプラス面もあるようで、「オフィスなんて会議室だけでいいんじゃない?」「家賃も安くなるし小さいオフィスに引っ越そう」という企業も出てきているようです。
ただ、在宅ワークでは、通常のオフィスでの勤務と違って、労働時間管理をすることが難しいという問題があります。そこで今回のコラムでは、厚労省の出しているガイドラインをもとに、在宅ワークにおける労務管理や労基法上の注意点について、ご紹介いたします。
勤怠管理ツール及びプレゼンス管理(在席管理)ツールを利用することで、在宅でわかりにくい勤務状況や在席状況を見えるか化し、適切に管理していきます。
(1)始業・終業時刻の管理
従業員の勤怠状況を管理するため、始業・終業時刻の報告、記録の方法をあらかじめ決めておきましょう。報告・記録の方法としては、
・Eメール
テレワーク実施企業で、最も多く利用されています。
使い慣れている、業務の報告を同時に行いやすい、担当部署も一括で記録を共有できるなどの特徴があります。
・電話
テレワーク実施企業で、Eメールに次いで利用されています。
使い慣れている、時間がかからない、コミュニケーションの時間が取れるなどの特徴があります。
・勤怠管理ツール(始業・終業時刻等を管理することができるシステム)
Eメールで通知しなくてもよい、大人数を管理しやすい、担当部署も記録を共有できるなどの特徴があります。
・業務中に常時通信可能な状態にする
個別に報告する手間がかからないなどの特徴があります。
などがあります。
勤怠管理ツール例としては、ジョブカン(https://jobcan.ne.jp/)やjinjer(https://hcm-jinjer.com/)がよく使われているようです。
勤怠管理の注意点として、
・始業・終業時刻を変更する場合
テレワークによって通勤時間が削減されると、通常より早く業務を開始することも考えられます
→運用ルールをあらかじめ決めておきましょう
・業務を中断する場合
所定労働時間中に業務を中断することを認める場合について、その運用ルールをあらかじめ決めておきましょう
→労働時間管理や情報共有に関するルール化が求められます
があげられます。
(2)プレゼンス管理(在席管理)
プレゼンス管理とは、従業員の在席状況や業務状況を把握することです。
一応在宅とはいえ業務に従事しているわけでして、あまりに離席して仕事以外のことをされても困ります。多少のことは良いにしろ、モラル崩壊が起きないよう歯止めとして管理する必要はあると思います。プレゼンス管理の方法としては、
・業務時間中の在席・離席の記録を取る
始業・終業時刻に加え、在席・離席の記録を取ります。
記録は、Eメールやプレゼンス管理ツールを利用するほか、会議システムのカメラ機能を通じて行う
・業務時間中のルールを設定する
業務(在席)中は常に電話をとれるようにする、ランダムにPCの画面の記録を取る
といった方法があります。
プレゼンス管理ツールとしては、F-Chair+(https://fchair-plus.jp/)、Remotty(https://ja.remotty.net/)などが使いやすそうですね。
(3)業務管理
在宅勤務ですと何しているかどのくらい進んでいるかパッと見た目にわからず、把握に手間がかかります。進捗状況を可視化し、業務管理を効率化するため、スケジュールを共有し、テレワーク実施者の業務遂行状況の把握を適切に行いましょう。
業務管理の方法としては、スケジュール管理ツールの活用があげられます。
ツールを使うことにより、従業員が特定の時間帯にどの業務に従事しているかを確認したり、テレワーク時に実施した仕事を可視化することができます。また、従業員間でスケジュールを共有するなどの機能も持っています。
スケジュール管理ツールとしては、サイボウズoffice( https://office.cybozu.co.jp/)などがよく利用されています。
テレワークは新しい働き方でもありますので、労働法規上で注意しないといけない点も再度確認しておきましょう。
(1)就業規則
テレワークを導入する場合には、就業規則などにテレワーク勤務に関して規定しておくことが必要です。この場合、就業規則本体に直接規定する場合と、「テレワーク勤務規程」といった個別の規程を定める場合があります。
いずれの場合も、テレワーク勤務に関する規程を作成・変更した際は、所定の手続を経て、所轄労働基準監督署に届け出ることが必要です。
(2)労基法上の注意事項
在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務のいずれのテレワーク時においても労働基準法は適用されます。自宅でのテレワークについては次の事項に留意が必要です。
・労働条件の明示
事業主は労働契約締結に際し、就業の場所を明示する必要があります(労働基準法施行規則5条2項)。在宅勤務の場合には、就業場所として従業員の自宅を明示する必要があります。
・労働時間の把握
使用者は、労働時間を適正に管理するため、従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録しなければなりません(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準・平成 13.4.6 基発第 339 号)。
通常の労働時間制、フレックスタイム制のほかに、一定の要件を満たせば事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制も活用できます。
・業績評価・人事管理等の取扱い
業績評価や人事管理について、会社へ出社する従業員と異なる制度を用いるのであれば、その取扱い内容を丁寧に説明しておく必要があります。また、就業規則の変更手続が必要となります(労働基準法89条2号)。
・通信費・情報通信機器等の費用負担
費用負担については、あらかじめ決めておく必要があります。
なお、在宅勤務等を行う従業員に通信費や情報通信機器等の費用負担をさせる場合には、就業規則に規定する必要があります。
・社内教育の取扱い
在宅勤務等を行う労働者について、社内教育や研修制度に関する定めをする場合にも、当該事項について就業規則に規定しなければなりません。
新しい働き方ですから、社内の規定や管理の方法もいろいろと整備しておく必要がありますね。
更に詳しく知りたいかたは、厚生労働省のテレワーク導入運用ガイドブックのリンクを貼っておきますので、こちらをご参照ください。
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/01_01.pdf
新型コロナにいつまでも振り回されたくはないですが、まだまだ収束には至らず、しまいには第二波、第三波の可能性もあるとのこと。
新型コロナウイルスがある前提でどう生きるか、どう過ごすかという、ウィズ・コロナの時代に突入したという論評も多く見受けられます。
在宅勤務、テレワークについても引き続き検討していく、よりよい形に仕組みを考え実行していく必要もありそうですね。
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