事業再生コンサルコラム 2020年7月11日号

インフルエンサーと景品表示法

今回の事業再生コンサルコラムは、ネット販売とインフルエンサーさんの関係、主に宣伝広告で注意すべき内容についてお話ししたいと思います。

 

新コロナ感染症流行で路面店は客足遠のき、軒並み大打撃をくらっています。特にアパレルではその影響が目立っていて、日本でなレナウンがアメリカではあの有名なブルックスブラザーズが民事再生となりました。

 

アパレルのような在庫をたくさん持たざるを得ないようなビジネスモデルの会社は(現状そんなに表に出てきていないですが)かなりしんどい状況になっているのではないでしょうか。中小のアパレル企業さんなどどうなっているのか、、持続化給付金で持ち堪えられうような規模感ならいいのですが、ちょっとしたものづくり企業にとって200万円というお金は、あっという間に消えてしまう金額感です。家賃を払っているような小売店は、家賃支援給付金の活用をぜひぜひ進めてください。

 

ネット販売もなかなか大変

 

一方、インターネットでの販売はそれほどの落ち込みを見せていません。

購入意欲さえ維持されていれば、どこで買うかだけの問題で、外出自粛ならネットを使って家で買おう、という話と思います。

 

さはさりながら、数多あるネットショップのなかでどうやって選んで買っていただくかはかなり難問です。ヤフーや楽天などショッピングサイトに出店すれば目につきやすくなるかとは思いますが、それでも無数のお店が出ているわけでして、おいそれとは自社のページにたどり着いてはくれません。

 

さらには、なかなかの出店料を必要とされます。(固定、変動の違いは各社でありますが)

出店コストもかからない自社のECサイトに直接来てもらえるのが一番ではありますが、ただサイトを作ったからお客さんが来てくれるわけもなく、『知られる努力』をしないといけません。

 

つまりは広告宣伝です。ネットで売るならまずはネット広告ですね。

 

インフルエンサーの販促活用と注意点

 ネット広告の種類は、様々ありますが、インフルエンサー、なんて言葉を聞かれたことがありますでしょうか?

ブログやInstagram(インスタグラム)、YOUTUBE(ユーチューブ)などを開設されていて閲覧者が多く、閲覧者の消費動向に影響力がある方々のことです。

「あの人がいいというなら、買ってみよう」「あの人と同じものが欲しい」とユーザーに思わせることができる人たちですね。つまり、ファンがいるひとたちです。

 

なので、こういう影響力のある人に自社の商品を宣伝してもらえれば、販売サイトへ誘導でき、商品が売れるように思えます。

多少お金を払ってでも売る側としては紹介して欲しいですし、実際頻繁に行われています。

 

ただそういったブログ等を閲覧しているひとからすると、紹介された内容がほんとにそのインフルエンサーが良いと思って紹介したのか、お金をもらってビジネスとして紹介したのかわかりません。

ちょっと掛け違いが起きれば、「あの人がいいというから買ったのに、ただの広告だったなんて!だったら買わなかった!」という騒ぎも起きてしまうわけです。

 

一時“ステマ”なんて言葉が話題になっていましたよね。

ステマはステルス・マーケティングの略で、上記のように、一見宣伝とわからないよう、宣伝であることを意図的に隠す宣伝方法のことです。そうでなければ買わなかった(つまり、誤認)をじゃんじゃか誘発させてしまって、ちょっとした社会問題になっていました。

 

そのようなこともあり、消費者庁も規制を強化することになりました。

インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項(長っ)を公表して、

 

『商品・サービスを供給する事業者が、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させる場合には、当該事業者は、当該口コミ情報の対象となった商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は当該商品・サービスを供給する事

業者の競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されることのないようにする必要がある。』

 

と諌めています。不当表示の問題だ、景品表示法違反だということですね。

 

上記留意事項PDF→

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/120509premiums_2.pdf

 

 

なので、そういった影響力のあるインフルエンサーにお願いして(お金を払って)商品PRをしてもらうには、消費者に誤認されないようにしないといけません。

景品表示法違反とならないよう、対策を打つ必要があるわけです。

 

 

景品表示法違反にならないように

で、なにをすればいいの?というところですが、対応のガイドラインがJIAA(日本インタラクティブ広告協会)から公表されています。

これによれば、報酬が発生するとなるとタイアップ(タイアップ広告、スポンサードコンテンツ)の定義に当てはまることになりまして、タイアップの場合は、PR表記また広告主の表記をせよ、となっています。

 

ネイティブ広告に関する推奨規定→

https://www.jiaa.org/wp-content/uploads/2019/11/JIAA_nativead_rule.pdf

 

 

先の消費者庁の「著しく優良又は有利」の定義があいまいなため、著しくない!と言い張ることもできそうな気もしますが、お国と戦っても基本勝てません。(喧嘩上等!な方は、ぜひ判例作りに貢献をお願いします)

取り急ぎは何か言われないように、ガイドライン(業界団体のガイドラインですが、国の関与もあったと考えるのが普通=従うべき。)に沿って、PR表記を行うのが安全でしょう。

 

PRの表示をすればインフルエンサーがいくら「これすごーい」「すごくいいー」と叫んでも広告であることが明白なので誤認して購入に至るようなことは抑制されますね。

ゆえに若干興ざめなわざとらしい広告となるわけで、インフルエンサーに紹介をお願いしてもそもそも提供者側が望むような効果は得られないかもしれません。

コアなファンとしては広告であることも受け入れ、インフルエンサーへの貢献のために購入するかもしれませんけどね。(あの人の役に立ちたい!的な)

とはいえ、影響力のあるインフルエンサーにお願いすれば、露出自体は確実に増えるわけで、だから検討しないという選択はないかなとも思います。

 

 

なお、口コミについては、下記定義中あるとおり、報酬があろうがあるまいが、現実に払ってようが払っていまいが、広告主との契約関係があれば口コミ広告とされます。

ついては報酬を払おうが払わまいがPR表示が必要となり、どうにも逃げようがなさそうです。

 

(参考)口コミ広告の定義

広告主との契約に基づき、ブロガーに対して当該商品・サービスを提供し、ブロガーは提供された商品・サービスを使用した感想等を含む紹介記事をブログに掲載する

 

アフィリエイトという仕組み

もう一つ、広告宣伝を請け負うインフルエンサーとは異なり、勝手に広告して成果報酬を得るよな、アフィリエイター、アフィリエイトという仕組みがあります。

こちらについてはどうかというと、その記事内容が、広告主依頼のものでなく、独自に編集されたものであればPR表示不要です。

 

ならアフィリエイターを裏で指示して、誇大になってもいいからどんどん売っちゃえ的な考えも抜け道として浮かばないわけではありません。

 

しかしアフィリエイトに関しても消費者庁より、

 

『アフィリエイターがアフィリエイトサイトに掲載する、広告主のバナー広告における表示に関しては、バナー広告に記載された商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。』

 

と見解が出ており、違法な表示をしているアフィリエイトサイトの責任を広告主に対しても積極的に追求されていくようです。となるとアフィリエイトサイトを抜け道として使うのは難しいですね。

 

普通にアフィリエイトを活用する場合も、商品・サービスの提供側としては、アフィリエイトサイトにも目を光らせておかないと、自分に跳ね返ってくることになるので、大変です。勝手にやっといて泥をかぶるのはサービス側なのですからたまりません。

アフィリエイトで売っていく場合は。アフィリエイターの管理、監視も業務のひとつですね。

 

ちなみにアフィリエイトの記載ガイドラインは以下のような感じですので、ご参考にいただければと思います。

 

<アフィリエイトサイトに掲載される情報の遵守事項>

1.アフィリエイトサイトにおいて、消費者を誤認させるような表示をしてはならないものとします。

 以下のいずれかに該当する表示は、消費者を誤認させるおそれがあるものとみなされます。

a.商品または役務のランキングの表示であって、当該ランキングがアフィリエイトサイト運営者によって恣意的に操作されたもの。(合理的根拠に基づいて設定されたランキングの表示は、上記に該当しません。)

b.広告素材として提供を受けたコンテンツを、アフィリエイトサイト運営者が独自に掲載するコンテンツであると誤解させるような表示。

c.アフィリエイトサイトをクライアントのサイトと誤解させるような表示。

d.ユーザーのクリックを不適切に誘発するような表示。

e.事実と異なる情報の表示。

f.誇大な表現による表示。

2.広告素材として提供を受けたコンテンツは、そのまま掲載するものとし、広告素材を改変してはならないものとします。

 広告素材中の画像またはテキストを変更する行為は、広告素材の改変に該当します。これら の変更を実施したり、その他の改変を行なったりしないでください。

3.アフィリエイトサイトに掲載されるコンテンツが、不適切なものであってはならないものとします。

 下記のいずれかに該当するコンテンツは、不適切なものとみなされます。

a.著作権を侵害するコンテンツ。

b.商標権を侵害するコンテンツ。

c.公序良俗に反するコンテンツ。

d.他人の権利を侵害するコンテンツ。

 

以上、インフルエンサーと景品表示法についてでした。

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池田ビジネスコンサルティング

 

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