事業再生コンサルのコラム、今年は展示会訪問記をそのコラム内容としてやってきましたが、本年最後の展示会訪問記は、国際ロボット展(及び部品供給装置展)です。
本展示会は、12月18日~21日において、有明のビッグサイト西棟、南棟、青海展示棟とビッグサイトの現在使用可能なすべてのホール、展示棟を利用して開催された大規模なものです。
部品供給装置展も併設されていますが、13ブースほどの小規模なもので、ロボット展が中心の展示会となっています。ちなみにロボット展の出展社数は511社です。
青海の展示棟はA・B2つのホールにわかれていますが、その両方とも使用されていました。
Aホールでは、SIer(システムインテグレーター)さんの展示ゾーンとなっています。SIerとは、ロボットをどう動かすか、というシステム構築側の会社ですね。
ロボットが派手な見た目で注目を集めがちですが、私としては、SIerさんのほうが大切と考えています。工場で使用するレベルのロボットであれば、機械的なものはある意味、各メーカーではもう大きな差はなくて、価格も下がってきていますし、驚くようなロボットはありません。(人型ロボットとかはまた別)
どう制御するか、どう使うかはSIerさんの仕事なので、むしろこちらが重要なのです。
予算的にもモノに払うよりも大きく必要となってきます。中小企業のロボット導入にはこのシステム構築コストがネックになっているので、ここがどうにかならないものか、と頭を悩ますところです。
実際人が作業するのでコストもかかるんだとは思いますが、SIerさんのコストが高止まりしているとなかなか中小企業までは普及しないでしょうね。
ちなみに私の知るSIerさんも出展されていました。
Bホールでは、ファナックや川重、ABB、ダイヘンなどのロボットが展示されていました。ロボットのブースは各社大変広くとっていて、とても派手で来場者の関心を多く集めていました。ただ、すごく目新しいかというとそういうわけでもなく、以前どこかで見たもの、程度の印象ではあります。
また、ベアリングなどの機能部品の展示もされていました。関連してモーターの展示もありまして、こちらは興味深く拝見しました。モーターについては、小型、高トルク、高回転、をどう実現するか、というところで各社しのぎを削っている感じです。いろいろ課題はあるようですので、課題解決のソリューションを提案できるような部品屋さんはチャンスじゃないでしょうか。自ら知りに行く積極性がカギですね。
さて、西棟に視点を移します。西棟では1階と上階すべてのホールが使用されています。こちらではロボットや機能部品、要素技術の展示がされています。
目についたのが、精密制御用の減速機。トルクションドライブとかハーモニックドライブとか言うらしいですが、ロボットや自動機を正確に制御するためには必須の機能のようで(たしかに)、機能部品にかかわらず、展示されている会社さんが多く見られました。
いかにスムーズにロボットを動かすか、自動機を動かすか、というところで必要となる部品ですから、人協働やより人に近いところで稼働するにあたって伸びていく部品かもしれませんね。進む方向としては、軽・薄・短・小が今後のキーワードかと思います。
アイエイアイやデンソーウェーブ、THKなどは巨大なブースを構え、工場用の自動設備類を展示されていました。内容としてはシリンダーやモーションコントローラーが主なところです。
上階へ昇ると、こちらは自治体の産業課かなんかが出しているブースが中心。展示は中小企業さんで地域振興、アピールですね。でも集客はできていなそうです。来場者は出展者になにができるかを知りたいのであって、どこでできるかはあまり関係ないと思うのですよ。こういった地域産業活性化としての出展をよく見ますが、〇〇市!とか推す必要はないんじゃないですかね。お金だけ補助しておけばいいと思います。結果は一緒。
1階に比べそんな若干お寂しい上階では、中小企業のネジ屋さんのブースがなぜだか賑わっていました。いろいろと供給装置を工夫して作っているようで、せっかくだからそれを販売しちゃえ、ということでの出展のようです。部品供給装置展を目当てに来た人にとっては、数少ない出展者、ということもあったかもしれません。そういう意味では部品供給装置展はぼちぼち集客できていて、意外とこちらの展示会を楽しみにやってきた人も多い感じがしました。中小の工場現場だとロボットより自動機とかですよね。単独の供給装置展として、しっかり出展社集められたら、それはそれで結構盛り上がるのではなりでしょうか。
おもしろグッズと言ってよいのか、ロボット用の手袋を展示している会社さんがありました。たしかに、汚れやすい場所での作業では合ったほうがいいのかもしれませんね。ただ、センサーとかちゃんと働くのかちょっと不安も。グリップの圧力とか変わるでしょうし。
西棟での見学を終え、南棟に移動しますと、ロボットメーカーの大型展示がドーンとされています。メーカーとしては、不二越、安川電機が一際広く、エプソン、三菱電機、MUJIN、東芝機械、ヤマハ発動機の出展になります。ただ、とりあえず広いだけでロボットのものとしてなにか特別すごいものがあるかというとそんなこともないな、という印象を持ってしまいます。
ロボットはもう、何ができるかという段階から、どう使うかという段階に進んできている気がします。ついては、使うための制御や使い方のノウハウなどが重要になってくるでしょう。
この辺りの知見を有しているのはSIerさんになりますが、まだまだできる会社さんの数が少ないです。国内のロボット活用を増やしていくためには、SIerさんの強化が欠かせない状況、つまりはまだまだ参入できるところと思いますので、システム屋さんで新たな分野開拓を考えていらっしゃるかたは有望な候補のひとつではないでしょうか。
おそらく最初の実績作りが難しいでしょうから、中小メーカーさんなどと提携して、ノウハウ積み上げ進めていければ、形になっていくかな、と想像します。
以上、国際ロボット展&部品供給装置展の展示会訪問記でした。
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