事業再生コンサルコラム、展示会訪問記の25回目は建設系の展示会です。
何かと忙しい師走ですから、来場者が見込めない展示会も少ないだろうと高をくくっていたところ、むしろ多い感じです。年末にかけて催し物業者さんも追い込みでしょうか。
ちなみに今年の最終週のビッグサイトはコミケ(これまたすごい混む!)なのでビジネス系の展示会はお休みです。
さて、そんな12月第2週は、建設系の展示会、住宅・ビル・施設Weekに行ってまいりました。
開催期間は12月11日~13日、開催場所は東京ビッグサイト青海展示棟です。最寄りはりんかい線の東京テレポート駅ですね。
この展示会は、
・高性能建材住設EXPO
・工務店支援EXPO
・施設リノベーションEXPO
・AI,スマート住宅EXPO
・スマートビルディングEXPO
の5展で構成されています。ならべて見ると建設とIT、みたいな関係の展示構成であることがわかります。
展示者数は340社ほど。そこそこの出展数ですが、小さいブースがびっちりというわけではなく、そこそこ各社展示スペースを広めにとれるような数となっています。
中日の12日のお昼前に伺いましたが、そこそこの人入りで、12月といえども最新情報を求めるビジネスマン皆さんの行動力には頭が下がります。
さて、それでは展示を見てまいりましょう。
入ってすぐ、右手に大きな人だかりができていました。
見てみますと、日栄インテック社のスマートミラーのプレゼンがやっていまして、耳を傾ける人がたくさん。
しかしこちらのスマートミラーはちゃんと鏡ですね。スマートミラー数あれど、こんなにきれいに映るミラーは初めてみるくらいです。
スマートミラーは、一般的に、液晶が裏に仕込まれており、そこに透過性の鏡フィルムを貼っているという構造のため、あまり鏡映りを良くしちゃうと液晶の表示が見えなくなってしまうんですね。
それがここまできれいに映るとはすごいです。
最新の活用法として、帝人レコパックシステム(RFID活用)と連携して化粧品使用数、時間などのデータを取込活用する、という展示がされていました。
物は面白いので、どう使うかがポイントかもしれませんね。
AIスマート住宅のエリアはパナソニックも人気を集めていました。
しかし、AIだ、というわりにはAIが使われている展示は少なく、蓄電池や太陽光発電、またそれに関連するものの展示が多いです。電気自動車との連動は興味深かったですが、これも特に新しいコンセプトというわけではありません。
本展示会においては、AIと住宅というのはどう関連するのか、いまいちイメージがわきません。スマート、といっても外出先から電気が付けられる程度のものです。(それでも国内法からするとよくやった、というものですが、言っても電気付ける行為に投資するか?という話は避けられません)
AIに関する訴求が少ないところからすると、おそらくこの名付け親も確たるものなしに流行り言葉を使ってみたものと勘ぐってしまいます。
むしろ、スマートビルディングにおいて、IT、IoTの活用は有用のようです。
顔認証による入退出管理や点検、検査についてのAIやIoT活用、さらには現場管理や要因配置についてのIT化、原価管理や見積作成の効率化などなど、紙ベースの資料の多い建設系にとってはやれること満載、といった感じ。
ただ、来場者の関心はなぜか薄めで、建設系のIT嫌いはなかなか乗り越えられなそうな気がいたしました。(越えられればチャンス)
施設リノベーションでは太陽光発電関連の展示が多いですね。
投資としての訴求や架台など、今更感も漂いますが、数年出遅れて周りに儲かった知り合いを見て興味が湧いたような方の関心を集めていました。ちゃんと考えてからやりましょうね、と声をかけたい気持ちをぐっとこらえて次へ向かいます。
目立つのは、分煙関連です。分煙装置ですとか、分煙室パッケージの提案、分煙トレーラー(喫煙車)なんてものの展示もありました。分煙をコンサルする、という会社も出る始末。
なんだか怪しい臭いがするなと、うろうろしていると理由がわかりました。
補助金出るんですね。
分煙装置や設備投資をすると国や東京都から費用の1/2の補助金が出るんだそうです。オリンピック開催も近いところ、環境整備の意味もあるんでしょう。
しかし補助金が出るとなると、目ざとい連中が湧いてくるものです。商売には大事な視点ではありますけど。
補助金無くなったら終わるビジネスやってどうするんかな?といつも思うところではありますが、皆さんその点はあまり気にされていないようです。バッタが食べ尽くして去るイメージでしょうか。ご苦労さまです。
他、屋根用断熱塗料とか、水を流すとか、屋根からの熱を防ぐコンセプトの展示が多かったです。
建材ではゆるまないネジとか、建築金物とかの展示が多かったです。この辺は日本企業もまだまだ健在なんですよね。こういった商品のほとんどが中国製に取って代わっている昨今、建設系はなかなか日本企業が頑張れる感じであるのはなぜなんでしょう?
新規参入がむずかしいのか、はたまた単純に見えて真似できない技術が隠れているのか、安全面からの製品信用というところなのか、興味がありますね。今度ゼネコンの知り合いに聞いてみることにします。
以上で全体見て回った感想となりますが、建設系でもいきたい方向性はIT、IoT、AIなんですね。ただ、人的に追える人がいない、人的な交流がない、理解がない、嫌い、やらない、遅れてる、というスパイラル。施設管理とかビルとかはIoT親和性あると思いますけどね。大企業でしたら人材も揃えられなくもないですし。
一方、住宅はどうなんでしょう?スマート化する意味あるんでしょうか?またそれを購入者は望んでいるんでしょうか?むしろ逆のような気がしてなりません。ハード面ではスマートもよいかもしれませんが、望まれているのはスローライフなどのソフト面で、効率化を全面に打ち出した商品はむしろ人間味に欠け、心に響かないんじゃないかな、と思ったりもします。
新しいものを売る、というビジネスモデルから、ストックをどう活かすかという観点で儲けられるようなビジネスモデル構築ができたら住宅系は勝ちでしょうね。それはそれで研究するには面白そうです。
以上、住宅・ビル・施設Weekの展示会訪問記でした。
事業再生等経営コンサルティングのご相談は
『中小企業経営者と”ともに歩む”』
池田ビジネスコンサルティング
前の記事◀展示会訪問記#24 Photonix、高機能素材Week他