10月の第2週は有明ビッグサイトと幕張メッセでそれぞれ展示会が催されていました。
前者はIT系、後者は農畜産系と対極的な内容ではありますが、それぞれに面白そうな内容で、日を違えて両展示会とも見学することにしました。(さすがに有明と幕張のはしごは時間的体力的にツライので)
前者の展示会内容は前回の訪問記でご案内したとおりです。
今回は、農業 WEEK 2019と銘打たれた農畜産系の展示会内容のご紹介をいたしたいと思います。
本展示会は、
第6回次世代農業EXPO
第4回国際6次産業化EXPO
第1回畜産資材EXPO
第9回国際農業資材EXPO
第9回国際道工具・作業用品EXPO
第13回国際ガーデンEXPO
の全6展示会が合わさって構成されている展示会になります。
各展示会銘打たれておりますが、展示自体は、展示内容に応じて更に細かくゾーン分けされています。私が行ったのがちょうど台風19号が来る来るといわれていた金曜のお昼ごろだったにもかかわらず、多くの来場者で賑わっていました。農業系も世間的な関心が高いのですね。
それでは見ていきましょう。
まずは植物工場ゾーンです。
全体通しても一番来場者の皆さんの関心を引いていたかもしれません。
似通った方向性のスマート農業ゾーンも加えると、来場者のお目当ては基本ここにあるといっても過言でないかもしれません。
植物工場をキーワードにした展示ということで、
・人口培土
・抗菌防藻
・LED照明
・制御システム
・植物ラック
などの製品・サービス展示がされていました。
パナソニックや日本郵便、東芝三菱電機、ヤンマー、昭和電工などなど大きな企業さんも積極的にアピールされていました。とくにパナソニックさんは人工光型の植物工場展開を広く推進されるようでした。
それぞれの生産物に応じた光(照明の種類)を提案している照明器具メーカーもありましたし、鮮度保持にノウハウを持っている企業さん(日栄インテック)の展示(2週間鮮度保持!)も他にはないものでした。ブースそれぞれはそれほど大々的なものではありませんでしたが、各々、農業分野にもチャレンジしていく気満々、といった感じでした。
関連する、スマート農業ゾーンも人気のエリアでした。
こちらは、省人化・省力化を目的とした、ITやAIを使ったサービスの展示が中心となっています。
管理ツールや測定センサー、AI選別機に自動移植機、またドローン活用など、農業も自動化の波が訪れているようです。実際、農家さんも高齢化や過疎化で人手不足甚だしいようですから、必然の方向性でしょう。
農業は自然相手でノウハウの塊のようなビジネスなので、手間も時間もかかります。労働投入量に比べて実入り(利益)が少ないともいえるわけです。見方を変えれば、労働の部分を減らせば総じて実入りも増え、参入する企業や跡を継ぐ子供さんたちも増えるかもしれませんね。畜産も「スマート畜産」として、管理ツールなどIT化を進めていく流れのようです。
展示で目立ったのはドローン。ドローン単体で大きなスペースを割いて展示されていました。
スマート農業とも連動するわけですが、機械としてのドローン展示が多かったのは驚きました。
ドローン自体はすでにさほど珍しいものでもなく、展示会でバンバン見せるほどの価値があるものでもないイメージ(電動ラジコンヘリみたいなものですし)でしたが、時代はまだまだそういった意識ではないのかもしれませんね。
生産から物流、食消費一連でIT化が進む中、NTTが全体パッケージとしてのシステム導入をアピールされていました。とかく保守的な業界でもありますし、NTTなど名前が大きいところのほうが事業を進めやすいかもしれませんね。このあたりは公共系と同じような目に見えない参入障壁があると認識しておいてもよいでしょう。逆に信頼関係がすでに構築されているようであれば、これからという、農業分野に中小のIT企業でも入りこめる余地があるとも言えます。
スマート系以外の農畜産分野では、包装や鮮度保持、物流関係の展示が多く、ネットやカゴ・パレットの類、フィルム、結束バンド、飼料などいろいろな業者がブースを設けていました。畜産に関しては特に糞尿処理について社会的な問題があるようで、ソリューションを提供しているいろいろな企業が出ていたのは気づきでした。臭いや環境汚染などいろいろ対処が厄介なのでしょうね。
作業用品やカーデン分野ですと、草刈り関連の展示が目立っていました。
電動工具のマキタや金物で有名な三木市の刈り刃、自動草刈り機、アイデア商品など幅広く展示されており、来場のお客さんも興味深そうに眺めていました。
ほか、手袋や靴、作業服製造会社の展示ブースもありましたが、こちらは中国勢が強そうです。(どこへ行ってもこういったたぐいのものは中国の企業がたくさん)
日本企業だと相当工夫した付加価値の高いもので勝負しないとダメですね。価格では到底太刀打ちできないと思います。ただ、真似されるのも早いので、どんどん新製品を作っていかないとあっという間に模造品にやられてしまうでしょうね。国内市場向けに特化するなら知財戦略などきちんとやればなんとか賞味期限も伸ばせるかもしれません。一生懸命だけでなく、知恵が必要ですね。
薬品メーカーは大企業が多いせいかブースも広めです。
とはいえ、巷に出回っている商品をきれいに並べているだけでしたので、さして興味をそそるものではありませんでした。残念。せっかくの展示会なのですから、なにか新しいものを世に問うてもらいたいですよね。
以上、農業 WEEK 2019 展示会訪問記でした。
追伸
来場者一番の人気はジェラート製造メーカーの試食コーナーでした(皆さんげんきん)
事業再生等経営コンサルティングのご相談は
『中小企業経営者と”ともに歩む”』
池田ビジネスコンサルティング
前の記事◀展示会訪問記#17 日経XTECH EXPO 2019