臨時の業務が入ってきたこともあって、なかなか展示会に足を伸ばせなかったのですが、ここにきてよやく落ち着き、展示会に行けるようになりました。
10月の第2週は、有明のビッグサイトと幕張メッセでともに面白そうな展示会がやっていました。
そのなかでまず伺った展示会は、ビッグサイトで開催されていた日経XTECH(クロステックと読むらしい)EXPO 2019です。(メッセで開催された展示会のレポートはまた後日に)
本展示会は、日経主催のIT系の展示会です。
ビッグサイトの西棟の1階と2階を使い、催されていました。
大きなブースがあるとあっという間に見終わってしまう、床面積のそれほど広くない西棟ですが、今回は細かいブースが多く、なかなかの見応えでございました。
初日の水曜日に伺ったのですが、すでにお客さんの集まりは良く、混んでいました。やはりIT系の展示会は注目度が高いですね。
展示については、以下11の分野に分かれています。
1.エンタープライズICT2019
2.クラウドImpact2019
3.Security solution 2019
4.人口知能ビジネスAI2019
5.Fintech & ブロックチェーン2019
6.デジタルものづくり2019
7.建設テック2019
8.ioTJapan2019
9.働き方改革2019
10.HRテック&ラーニングテクノロジー2019
11.デジタルドキュメント2019
それぞれバランスよく、同程度の面積で展示されていましたが、エンタープライズICTはその中でも専有面積は広めで、展示ブースも大きく、目立っていました。
時間がなくて聴けませんでしたが、本展示会はセミナー公演が多く企画されているのが特徴かもしれませんね。セミナー会場だけで7箇所ありまして、開場と同時に間髪入れず1時間ずつ閉場まで行われていました。「5Gがビジネスに与える変化」という講演なんかは面白そうだったのですが、聴けず残念です。
では、Fintech & ブロックチェーンエリアら展示ブースを回ってまいりましょう。
実はこちらFintech & ・・・となっていますが、展示のほとんどがディープラーニングやAIのブースでした。次のエリアが人工知能ビジネスAIのエリアになっているのですが、展示はほぼこちらAIの内容。あまりFintech & ・・・で展示申し込みがなかったのかもしれませんね。
ついては、Fintechではなく、AIエリアの内容から見ていくことになったわけですが(フィンテックもAI使っているものもあるので区分けは難しいですけれど)、マーケティング分野でのAI活用や、行動分析における活用、映像分析や予測にAIを用いる展示が多くされていました。
面白いと思ったのは、視界の死角をAIがサポートする、というもの。
カメラがあれば事足りるのかもしれませんが、無闇矢鱈にカメラをつけるわけにもいきません。それで生じる死角をAIでフォローするシステムです。事故防止にすぐに役立つと思いました。ぜひ世の中に広がってほしいですね。
AIを使ったスマート測量というシステムや、建造物保全検査をAIにより行うシステムは興味深いものでした。検査のAIシステムは、人が行きづらいところもロボットやドローンで検査箇所を撮影し映像化。これを分析するもので、分析の手法としてAIを活用しているとのことでした。
とはいえ、いくらAIといってもNGデータの量がないとなかなか正しい解析ができないように思ったのですが、そこはデータオーグメンテーションを行い、NGデータ自体を自動生成したり、学習パラメータを調整することによって補完しているとのお話でした。(なるほどねぇ)
エンタープライズICTのエリアに移りますと、こちらは大企業が大きなブースでアピールしています。
目立つところでは、IBM、パナソニック、Sky、インテル、マイクロソフト、オービック、NECネッツアイところでしょうか。
しかし、一番のひとだかりがあったのはこのいずれでもなく、Slack(スラック)。
サービス的にはチャット様の社内外コミュニーケーションツールサービスになるのですが、話題のようですね。
特徴的は自社の枠を乗り越えた、というところでしょうか。これまであったこういったコミュニーケーションツールは社内用として使われることが多いものでしたので、プロジェクトベースで社外のメンバーもも含めたルームが作れる、というのが新鮮なようです。また、セキュリティ対策も万全であることが、ビジネスユーザーにも関心を持たれる所以なのかもしれません。LINEでも工夫すれば同じようなことはできそうですが、あちらは個人ベースなので、より効率的ですし、運用管理もできますからね。かゆいところに手が届く感じでしょうか。グループウェアの会社であるサイボウズがSlackを使っているというのも興味をそそります。
マイクロソフトもよく集客できていました。バックアップの課題解決をオフィス365などを絡ませながらアピールされていましたね。
エンタープライズICTのエリアから、代わり映えしないセキュリティエリアを抜け、ioTエリア・デジタルものづくりエリアに移動しますが、IoTに関しては、部品や消耗品交換時期のアラートくらいしか実戦ではまだ活用の方法が見当たらないようですね。データは山のように集まるとは思いますが、どう活用してどう役立てるか、製造業のデータ活用は少し行き詰まっているように感じます。
建設テックはなかなかに積極的な展示で、ブースも多く、熱が入っているように思いました。建設についてIT、ICT活用の主目的としては、省人化、省力化、短納期ですね。あとは安全面。実際、人手不足が著しい業界ですし、人は固定費ですから経営に対してはちょっと重たいのですよね。労災もそもそも人がいなければ発生しませんし。そういう意味ではすごくIT化の意味がある業界なのかもしれません。どうしてもITに疎いかたが多い業界なので、おいそれとは、という感じでしょうが、進み始めれば右へ倣えも強い業界ですので、あっという間になにがしかそういった省人化のサービスやシステムが広がるようにも思います。現場職人のノウハウがAI化され、ロボット化まで行ったらすごいですね。大量生産でなく、作業場ごとにスキルの使い方が違うところも特徴でしょうから、AIの活用の意味もとてもあるように思います。
2階にあがりますと、働き方改革のエリアが広がります。
こちらもAIの訴求が主な展示ですね。事務作業のIT化、自動管理システム、ペーパレス、RPAなどよく見るといったら失礼ですが、新しさはそれほどない展示内容でした。電子帳簿保存法の改正や運用見直しがあることを訴求している企業さんも多く見受けられました。
ちなみに電子帳簿保存法ですが、以下のとおり、承認申請書の提出期限の特例の創設や、スキャナ保存の対象書類の範囲拡大といった制度改正がなされるとともに、運用上の見直しも講じられたようです。(今年の7月)
1.新たに業務を開始した個人の電子帳簿保存等の承認申請書の提出期限の特例の創設
2.承認を受ける前に作成又は受領をした重要書類のスキャナ保存の可能化
3.承認申請手続の見直し
4.事前相談体制の整備
5.通達等の改訂
(1) 入力等に係る期間制限に関する解釈の見直し
(2) 定期的な検査に関する解釈の見直し
(3) 検索機能の確保に関する解釈の見直し
この他に、スキャンミスが判明した場合の取扱いについて一定の明確化を図る
さて、隣のHRテックエリアに目を移しますと、またいろいろと展示されています。
ざっくり申しますと、人事業務をITで効率化する、というサービスなのですが、どれも大企業対象のサービスですね。人の顔がわからないほど大きな企業さんにはこういったサービスも必要なのかもしれませんが、中小企業では不要でしょうね。人材育成を効率化!と謳っていた企業さんもありましたが、人の育成に効率化という言葉を持ってきた思想自体にちょっと?が付きました。野菜じゃないんですから。
最後にクロスヘルスエリア。
「人間拡張」という概念が面白かったです。こちら、ウェアラブル、ヴィジブルなシステムを使うことで人間の脳みそをある意味騙して、今まできなかったことをできるようにしちゃう、拡張しちゃう、というものだそうです。怪我や病気でのリハビリでの活用が主目的のようですが、より高度な技能を求められるスポーツ選手などにも活用の幅が広がる、ということ。興味深いです。ただ、身体が脳の司令に耐えられるかが問題になりそうな気もいたしますが。
あとは郵送で血液検査や遺伝子検査をするビジネスやAIで健康管理チェックを行うシステムなどの展示ありました。
以上、本展示会全てを見てきましたが、最近はどこでもAIですね。AIがなんでもできるわけではありませんが(AIが不得意な分野もある)、AIは現在のビジネスのキーワードに間違いなくなっているかと思います。経営者はAI関連の本の一冊でも読んでおかないといけませんね。
以上、日経クロステックEXPO2019の訪問記でした。
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