8月の厳しい暑さとくらべると最近、朝晩はだいぶ過ごしやすくなりましたね。
さて、今回の展示会訪問記は、8月頭に行われた、MF-TOKYO2019(第6回プレス・板金・フォーミング展)です。
開催期間は7/31~8/3の4日間と、通常3日間開催の展示会が多いところ、今回はちょっと長めの間開催になっています。場所は有明の東京ビッグサイト、西棟と南棟を使い、展示面積は広めとなっています。
平日は職場を離れられず、行けないような方には土曜日開催はうれしいでしょうね。
実際、私の顧問先企業(製造業)の職人さんは土曜に行ってました。(勉強熱心で素晴らしい)
展示会内容としては、標題とおり、プレス・板金・鍛造の展示会で金属加工関係が中心のものとなります。
内容大きく分類しますと、
・プレス機械
・フォーミングマシン、ねじ、ばね機械、パイプ
・板金機械
・学会、協会、工業会団体
といった具合です。
スペースの割り振り的には、プレス機械が4割、フォーミングマシン等が2割弱、板金機械が4割弱、学会などが少し、となっています。
なにせ機械の展示が主流ですから、ひとつひとつのブースが広いです。
特に南棟で展示されていた板金機械については、また一段と広くブースがとられていました。
アマダや村田機械・三菱電器連合、トルンプはことさら大きく、目立っていました。
板金については、ファイバーレーザーを活用した機械の展示が多かったように思います。
ファイバーレーザーとは、光ファイバーからレーザーが出るもの、という知識しかありませんので、フジクラ社の説明をあげておきます。
ファイバレーザとは、光ファイバを増幅媒体とする固体レーザの一種です。光ファイバの中心にあるコアに、希土類元素Yb(イッテルビウム)がドープ(添加)されています。屈折率は、中心部が一番高くなっています。このYb添付中心コアの中を、1.1μmレーザ光と励起光が通ります。その外側の第一クラッドは、励起光が通ります。更にその外側に第二クラッドがあります。クラッドが二重になっているので、ダブルクラッドファイバと呼ばれています。(フジクラHPより)
他のレーザー方式と比べると品質や消費電力、寿命、メンテナンス性に優れているとのこと。
急速にファイバーレーザーに置き換わっているようです。
板金エリアについては、ベンディングロボットの展示も多くありました。ものが大きく重いという特性からロボット化が求められているのでしょうね。
フォーミングマシン・ねじ等のエリアは、ぐるっと見てまわりましたがあまり来場者も歩いておらず、注目度が低いように感じました。
そのなかでは一点、端のほうに、東大阪からいらしたユタカ社の自動検査装置の展示がありましたが、現在の顧問先が持っている課題を解決してくれそうで、興味深く見ることができました。小さなスペースではありましたが、来場者の視線や熱気は一番だったかもしれません。
上下のカメラ(左右に追加することもできる)で画像を取得しこれで検査するものですが、バラバラのワーク(今回はネジが入ってました)をどう整列させて撮影するか、というところにポイントがあるようです。
価格も1,000万~1,500万円とあまり無理のない金額ですし、顧問先の製造業さんに紹介してみようと思っています。
プレス機械エリアに目を向けますと、来場者も多く歩いており、注目度は高いようです。海外からのお客さんも多く目につきます。
まず目に留まったのは、シノハラプレスのブース。ロボットによる自動化の展示が目を引きますが、面白かったのは、半自動化のプレス装置。既存のプレス機械に付け加えて使用します。
プレス作業のデモンストレーションをしていますが、プレスの際、スイッチを押していません。
ワークをセットし→透明扉が閉まる→自動でプレス→透明扉が開く→ワーク取り出し→ワークセット→・・・
という流れなのです。動画↓
説明員のかたによると、扉設置による安全性向上はもとより、半自動化により一人2台持ち、3台持ちすることが可能となり、生産効率が大きく向上するとのことでした。
現実的に、ロボットによる全自動化は、処理分量もそれなりに多くないと投資効果を得られません。少量多品種化している昨今、中小製造業などは全自動よりも、かような半自動による省力化、効率化が目指すべきところなのかもしれませんね。
プレスで生産効率向上というと課題となるのは段取り時間(金型や材料のセッティング)です。
事故も起きやすく、上記でも述べたように安全性と効率性両方を高める方策が求められています。
全自動で金型をセッティングする装置もよく見かけますが、パスカル社は金型セッティングを油圧やローラー、マグネットなどを用いて省力化することにより事故を防ぎ、時間を短く効率的に行えるようにするツールを展示していました。
こちらのツールを使用すると、調整時間に1時間要していた場合、半分の30分程度に収まるとのこと、大幅な効率化が実現できますね。お値段もそれほどでなく、導入しやすいツールと思います。現場の高齢化も課題としてありますし、バリアフリー化をすすめるという意味でも、大変よろしいツールかと思います。
他、nidecのプレス機の前でベテラン社長さんらしくおじさまが、「すごいねぇ、これはすごいねぇ」と関心しきりな体で機械の動きを眺めていらっしゃいました。このおじさまの感心点がどこかはわからずじまいでしたが、プレス機を見るおじさまの目の輝きは本物だったと思います。
全体的に省力化、自動化、効率化といったところでテーマは一貫している感じがしました。
以上、MF-TOKYO展示会訪問記でした。
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