今回も2つの展示会にお邪魔してきました。
一つは通信放送Week2019、もう一つは国際モダンホスピタルショウ2019です。
両展示会とも2019年7月17日~19日の3日間ともにビッグサイト(前者は青海展示場、後者はビッグサイト南棟)で開催されました。
西棟ではインテリアライフスタイルTOKYO2019というインテリアや雑貨の展示会が行われていましたが、ぐるっと回ったところ、ビジネスというよりデザイナーさんの発表会の体が強くて、私の職務範疇でもないかな、ということで今回の展示会訪問記では取り上げません。
さて、それでは通信放送Week2019から見ていきましょう。
こちらは、今話題の5GとかIoT、4K/8Kといった技術に関する通信映像系の展示会です。
内容的には、
・第19回光通信技術展
・第3回映像伝送EXPO
・第2回4K、8K映像技術展
・第2回5G/IoT通信展
の4分野となっています。
スペースの割り振り的にはほぼ同一で4分割というところ。
光通信と5G関連のスペースが気持ち大きいかな、と思います。
光通信に関しては、光ファイバーメーカーの展示が主になります。
フジクラ等多くの日本企業もブースを出していましたが、中国、台湾の企業がそれ以上に出展しているのを見ると、コネクターや端子、ケーブルなどはコモディティ化していて価格勝負になっているのかもしれませんね。
どちらかというと、大手の日本企業はコネクターやケーブルというものより、その製造装置や検査装置に寄ってる感じです。中小企業さんはコネクターやケーブルも売られているようですが、海外勢との違いがそう大きなものと思えず、価格勝負を超えられるのかちょっと?に思えます。実際あまりお客さんの関心も集められていないようでした。
ただ、市場的にはニッチだけどすごく尖ったような(高付加価値の)商品を作れば、日本の中小企業も活躍できそうな気もしました。いろいろ見る中で面白いそうなアイデア、ヒントが得られたので、顧問先さんにちょっとお話ししてみようかと思っています。
映像伝送、4K8Kや5G/IoTについても通信と同様、大きいデータをどう運ぶか、伝えるかの技術の展示が多くみられました。
各社の展示を見回ると、全体的に、「放熱性」「電導性」がキーワードのようですね。たいていの部品屋さんや機材屋さんで訴求していました。
そういえば先日カメラメーカーのシグマが新機種を発表していましたが、そちらでも放熱性がキーワードのひとつとして入ってましたね。(カメラは今ではデータ処理機器ですから)高度な処理をすればするほど熱が発生してしまうようで、機能レベルを落とさないためにも放熱性が重要なんだとか。
熱対策、面白そうです。
他、5G/IoTについては、企業アライアンスグループのZETA ALLIANCEとsigfoxのブースが人気を集めていました。
ZETAは、ZiFiSence社(英ベンチャー)が開発した通信規格を使い、アライアンス各社で連携して各種機器開発を行う企業アライアンスです。
特徴としては、
・低消費電力(バッテリー寿命5~10年)
・長距離通信(2~10KM)
・双方向通信(アップリンクデータ、ダウンリンクコントロール)
・メッシュアクセス(マルチホップ、ネットワーク自動構成)
・周波数とデータ転送速度(920MHz、429MHz、300bps、600bps、2.4kbps)
・セキュリティ(ネットワーク認証、データ暗号化)
とのこと。
屋外や電源のないところで使え(長寿命)、低電力(ミクロンレベル)で双方向通信可能なので、待機時間が長いような場合などは有用だ、というお話でした。
凸版やドコモ、マクセル、NECなどが参加していましたね。
SigFoxはフランス Sigfox社 によって仕様策定されたLPWA(Low Power Wide Area)規格の1つです。
・低速(~100bps)ながら低消費電力、
・長距離伝送:UNB(Ultra Narrow Band)と呼ばれる狭帯域通信により高い受信感度を確保し、規格上は3~50km程度の距離の通信が可能、
というのが特徴です。
フランスをはじめ、スペイン、オランダ等ヨーロッパで面展開が進んでいます。
日本では京セラコミュニケーションシステムが中心となり、いろいろな企業がアライアンスを組んで、各種製品の開発などを行っているようです。
優れたもののようですし、IoTが広がっていくには必須の技術かと思いますが、しかし、こういったハブの規格が日本発でないのがなんとも残念でもあります。
5Gの時代はもうすぐそこに来ています。
その時代の波にどう乗っていくか、取り残されないように感度を高めていかないといけませんね。
次は国際モダンホスピタルショウ2019展示会です。
こちらの展示会には初めてお邪魔したのですが、看護師さん風の若い女性のグループがそこかしこに見られたり、病院関係の展示会ならでは、という感じでしたね。
国際モダンホスピタルショウは、保健、医療、福祉関係の展示会で、この分野では日本最大の展示会だそうです。たしかに人の入りもそこそあり、なかなかの賑わいでありました。
ただ、展示会的に全面写真動画撮影禁止ということで、個別の写真は撮れませんでした。(何も全面としなくとも、とも思いますが)
さて、展示会はビッグサイトに新しくできた南棟の1、2Fを使って開催されました。
規模的には東棟の片側くらい、西棟の2Fくらいの会場サイズです。
分野によってゾーン分けして展示されており、各ゾーンは、
・看護ゾーン
・医療機器ヘルスケアIoTゾーン
・検診健康増進ゾーン
・介護福祉リハビリテーションゾーン
・施設環境運営サポートゾーン
・医療情報システムゾーン
の6つに整理はされています。
が、展示の7割方は医療情報システム。会場にいるとどこを見てもシステム屋さん、というくらいのイメージです。
残りの3割の1割は医療機器ヘルスケアIoT、また1割が看護ゾーン、残りの1割を介護福祉リハビリと検診健康増進、施設環境運営サポートがわける感じの構成です。
看護ゾーンはナース服や白衣の展示が主になります。出展数自体は少ないのですが、ブース一つ一つが広く、なかなか目立ちます。広いブースを設けることができるイコール儲かっているということでもあり、医療ユニフォームはなかなかおもしろそうな匂いがしますね。
業界的には寡占の様相も見え隠れしますので、新規参入は大変かもしれませんが、縫製や生地製造などに得意をお持ちの企業さんは、事業参入の研究対象としてみるのもよいかと思います。
で、システムです。
展示場の7割を占めているわけですから、まま、病院の業務はITシステムと親和性が高いというのがわかります。
展示ブースを回ると、電子カルテを筆頭に、業務就業管理、物品管理、病床管理、物品・物流管理、受付請求管理と管理系のシステムが多く目につきます。電子カルテでいうと、手書き情報のデジタルデータ化や音声入力でのデータ化などが目新しいものでした。
看護師さんもなかなか人手が集まらないと聞きます。ついては、少ない人数で業務を回す、業務効率を上げるための業務管理システムが多く展示されているのもわかります。
業務効率UP施策としては、位置情報を認識して、誰がどこにいるか把握するとか、スマホで情報共有、業務管理するとか、メーカーさんで行っている生産効率向上のためのシステムに近いかと思います。工場の人員配置とか含めて。
物品管理ですと、防爆・被爆管理というのがけっこうありまして、ここは病院系ならでは、という感じです。
あとは、受付や精算のシステムはビジネス領域としては面白そうです。待合にあれだけ人がならび(待ち)診察後も精算のために長く待つ、という現実問題はすでに見えているわけですから、CSという意味では導入効果が高いように思えます。「あの病院はあまり待たないからあそこに行こう」という営業面でのプラスもあるかもしれません。(病院側として外来が今以上増えることを望んでいればの話ですが)
そして、これらの展示ブースには、キヤノン、NEC、OKI、富士フィルム、日立、NTTなどなど錚々たる日本のトップ、いやグローバルでも大きい会社さんがズラリと顔を揃えております。
これが意味しているのは、システム案件として規模も大きいし、儲かる、需要もある、ということですよね。
この前の学校教育関係の展示会でもIT系大企業が数多く出展していましたが、導入検討、決定プロセスにおける社名信頼性の優先度が高い(=中身を判断できないので名前で決める)という特性があるやもしれません。
逆に、中小企業でも親密度が高い病院や院長さんがいれば、営業チャンスともいえます。信頼性はすでに充足されているわけですから。
導入すべきシステムは、工場系の管理運用システムに近いところですので、多少モディファイすれば技術的に難しい点はあまりないかと思いますのでチャレンジしてほしいですね。
むしろ、システムに疎いかたが多いエリアなので、それ前提に寄り添うような、気を配った、現場主義の実践的なシステムを構築できればとてもありがたがられると思いますし、また、横展開することも可能と思います。ビジネスチャンスは広がっておりますよ。
IT系の会社さんは病院関係、一度ビジネス展開のポイントに検討されてみてはいかがでしょうか。
以上、展示会訪問記でした。
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