先日8月24日、日刊工業新聞に、第2次補正予算でものづくり支援に1000億円、というニュースが出ていました。1000億円の内訳は、ものづくり補助金に7~800億、IT導入支援と海外展開支援で2~300億、とのことでした。
この29日に報道の補正予算案が発表されましたので、答え合わせ方々、ものづくり補助金を中心に中小企業関連の予算内容をチェックしていきたいと思います。
新聞記載の通り、今回の予算からものづくり補助金を中心とした中小企業施策は、地域未来投資促進事業という事業名になりました。予算案額は、1001.3億円です。(新聞ピタリ正解。しかしこういうのはどこから漏れるんでしょうね?)
地域未来うんぬんの事業目的としては、中小企業の経営力向上を図り、ものづくりやIT導入の支援、海外展開の支援となっています。このへんはこれまでのものづくり補助金と変わりませんね。
ただ、IT導入について強く打ち出しているような感じがこれまでと違うかもしれません。ここはちょっとチェックする必要がありそうです。
事業の詳細としては三つありまして、一つは、これまで同様の、ものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援事業)。その内容は、補助上限3000万円(IOT・ビッグデータなどを活用した場合)と1000万円・500万円とありまして、これもこれまでと同じ。ちなみに補助率はすべて2/3です(これもこれまでと同じ)。
二つ目は、ITシステム導入支援対する補助です。金額は記載ないですが、補助率は2/3となっています。経営力向上を支援するITシステムの導入費補助ということなので、広く活用できそうですね。他、相談会の実施や専門家の派遣などが予算化されています。
三つ目は、需要開拓支援。小規模事業者の販路開拓や、中小企業の海外展開支援、観光業の高度化計画策定支援、商店街のインバウンド消費対策などです。こちらは個別の予算額の明記はありませんでした。
予算の割り振りで言うと、新聞にもあるように、ものづくり補助金で7~800億、IT支援で2~300億、需要開拓支援で1.3億、という感じなんじゃなかろうかと思います。
この1000億の予算は、経産省関連の目玉予算、ということのようですが、少々いちゃもんをつけますと、過去の予算規模から比べて、「目玉」というほどではないかなーと思います。
実際、ものづくり補助金の予算規模を年次で追うと、
24年度補正 1007億円
25年度補正 1400億円
26年度補正 1020億円
27年度補正 1020億円
となっていまして、前回が1020億ということで、今回は7~800億ということですから、むしろ縮小です。25年度補正1400億と比べると半分ですね。
ただ、縮小とはいうものの、これまでものづくり補助金はIT導入支援も含んでおりましたので、総額でいうとほぼ同じ規模とも言えるかな、とも言えます。
逆に言うと、ITに別枠を設けたわけで、試作開発に伴う機械設備の導入に関する採択が多かったこれまでのものづくり補助金から鑑みると、IT導入に関する補助金申請は、採択されやすい状況になったとも言えます。(まだ予算額が明確でないですけど)
やるべきだけどなかなかな~というような、セキュリティシステムなどの導入にはとても良いきっかけになるかと思います。やればそこそこお金もかかりますし、放っておけばいつかは問題になりますので、補助金はいいチャンスですね。
もちろん、経理システムや生産管理システムなど、経営力の向上に結びつくようなものは対象となるかと思いますので、IT導入に腰が重かった経営者さんは、うまく補助金を活用するのも手かと思います。
しかし、通ればお金をもらえる補助金も、申請書作成はかなり骨が折れる作業でございまして。。採択されないときの虚無感足るや、一杯あおるくらいでは全く足りません。
なので、予算規模もさることながら、一体どのくらいの確率で通るのか、その採択率もチェックしておきたいところです。
ちなみに、以下が各年度の採択数と採択割合です。
24年度補正 採択数4162/申請数10209(40.8%)
上2次募集 採択数5612/申請数11926(47.1%)
25年度補正 採択数6697/申請数15019(44.6%)
上2次募集 採択数4818/申請数14502(33.2%)
26年度補正 採択数7253/申請数17128(42.3%)
上2次募集 採択数5881/申請数13350(44.1%)
27年度補正 採択数7729/申請数24011(32.2%)
私も26年度補正の際に申請のお手伝いをしましたが、ありがたいことに採択いただきました。
(ちなみに申請から2年後の今夏やっと補助金が降りました。。長かった。。)
ただ、年を経るごとに応募数が増えていて、今年は採択率が3割を切りました。
なかなか狭き門になってきましたね。
原則、1次募集の方が通りやすいので、申請しようかな、とお思いのかたは、1次募集開始のニュースを
こまめにチェックし、準備し、申請なさると良いでしょう。(公募案内やその事前案内は中小企業庁のホームページに記載されます)
最後に、今回のものづくり補助金補助金で注目すべき点を二点、上げます。
一点は、雇用・賃金を増やす計画については、補助上限が倍になる点、もう一点は、最低賃金引き上げの影響を受ける場合は、補助上限を更に1.5倍(前者と合わせて上限3倍)になることです。
クイズダービーの巨泉さんの名文句「どん、さらにどん」並みの大盤振る舞いですね。
新製品開発や生産増強などで雇用を増やす必要がある会社さんにとってはかなり使えそうな補助金になりそうです。
審査に当って、経営力向上計画の認定を受けていると加点があり、多少有利だそうですから、申請を考えていらっしゃる会社さんは先に経営力向上計画の申請をしてみるのも一考です。
それでは。
池田
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