昨年末公表されていた予算案では、省力化投資補助金がなくなるような話でしたが、今年も継続されるようです。
1月末に公募要領も公開され、補助額や補助率、その他要件なども明らかになっています。
見ると、去年の省力化補助金は、カタログに載っている機器を中小企業が選ぶシステムだったところ、今年はカタログ式も残りつつも、スクラッチの、オーダーメイドタイプのシステムや一点ものの機会装置、生産設備なども対象となるようです。
カタログ式でないものを「一般型」としてますが、これは大きな変化ですね。
カタログから選べることが簡易でよろしい、と始まった省力化投資補助金ですから、かなりの方向転換のように感じます。
あまり活用されてこなかったように思えるので、活用されなかった理由や問題点、課題を解消しにきた印象ですね。
となると、ものづくり補助金との兼ね合いが難しいところに思いますが、もの補助は「革新的な新製品やサービスの開発」。省力化は文字通り生産・業務プロセス等の効率化を目的にするものと一応区分けされるようです。
ちなみに、今回公募要領が公開された省力化補助金は正しくは、「中小企業省力化投資補助事業」といいまして、その中でも「一般型」となります。
こちらは、
『中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等がIoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある設備を導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、省力化投資を促進して中小企業等の付加価値額や生産性向上を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とする。』
ものです。何やら賃上げなる文言が入っているのが気になりますが、生産性向上が図れる省力化投資に補助してくれるものですね。
補助上限額等補助内容は以下のとおり。
1.補助上限額
従業員数5人以下 750万円(1,000万円)
従業員数6~20人 1,500万円(2,000万円)
従業員数21~50人 3,000万円(4,000万円)
従業員数51~100人 5,000万円(6,500万円)
従業員数101人以上 8,000万円(1億円)
※カッコ内は大幅な賃上げ計画時
2.補助率
補助金額1,500万円まで
中小企業 補助金額1,500万円まで1/2(2/3)、1,500万円超1/3
小規模等 補助金額1,500万円まで2/3、1,500万円超1/3
※カッコ内は大幅な賃上げ計画時
なかなか大きな金額ですよね。
事業進出補助金も同じくらい大きな金額ですし、なんだか今年の経産省は大盤振る舞いな感じです。
さて、とはいえそう簡単になんでもかんでも出してくれるわけでないのは想像に難くないところ、要件を見てみましょう。
とりあえず事業計画を策定して提出することになるのですが、その内容として、以下基本要件があげられています。
1)労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上増加
2)1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以
上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
3)事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
4)次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。
ここでの労働生産性は一人当たり付加価値額ですね。
他には、
・省力化指数を計算すること
・投資回収期間の計算をすること+根拠資料の提出
・投資前より付加価値額が増加すること
・人手不足解消目的のオーダーメイド設備の導入
・SIer活用時は保守メンテ体制の構築
・資金調達予定時は調達先金融機関等からの確認書提出
といった内容が求められます。
なにやら面倒そうですが、事業再構築とかでやった細かな要件と比べるとそれほど作成は難しくなさそうです。
申請受付時期、終了時期についてはまだ確定していないようですが、3月初旬に申請様式公開、3月中旬の申請受付で3月下旬に締切と短い期間に第一回はなりそうです。詳細は今後の発表を待つことといたしましょう。
なお、毎度こういった補助金は第一回の採択率が高いので、準備できる方は早めに計画を立てておいて、締切に間に合うようにいたしましょう。
ちなみにカタログ注文型もより使いやすくなるようですので、汎用品購入で補助金を活用したい方はこちらにも注目ですね。
こちらは2月末ごろに内容が明らかになるようです。
以上、今年も継続された省力化投資補助金の話題でした。
(参考)中小企業省力化投資補助金HP(一般型)
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