平成24年11月19日、経済産業省は下請取引の適正化及び下請事業者への配慮等に係る通達を発出しました。
世界景気の減速等を背景として国内景気に弱い動きがみられるところ、世界景気の更なる下振れや金融資本市場の変動等が景気を下押しするリスクとなっています。特に中小企業においては、円高等の影響もあり、より厳しい状況にあります。
こうした経済情勢を踏まえ、経産省は親事業者等に対し、下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払うことや、不当なしわ寄せをしないよう配慮することなどを要請しました。
1.「下請取引の適正化」について(下請代金支払遅延等防止法関連)
経済産業大臣及び公正取引委員会委員長代理委員の連名で、親事業者代表取締役(33,065社)及び関係事業者団体代表者(645団体)に、下請代金の支払遅延、下請代金の減額、買いたたき等の下請代金支払遅延等防止法の禁止行為に違反することがないよう、同法を遵守すること等を要請しました。
2.「下請事業者への配慮等」について(下請中小企業振興法関連)
経済産業大臣名、または、主務大臣(内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣)との連名により、関係事業者団体代表者(745団体)に、親事業者が海外進出や国内事業所の再編等を行うに際しては、その計画について逐次情報提供を行いつつ、下請事業者に必要な支援を行う等下請中小企業振興法に定める「振興基準」を遵守すること等を要請しました。
2-1.親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引関係を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経営に著しい影響を与えないよう配慮し、相当の猶予期間をもって予告すること。
2-2.取引対価は、取引数量、納期の長短、納入頻度の多寡、代金の支払方法、品質、材料費、労務費、運送費、在庫保有費等諸経費、市価の動向等を考慮した合理的な算定方式に基づき、下請事業者の適正な利益を含み、労働時間短縮等労働条件の改善が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が協議して決定すること。
また、取引対価の決定については、あらかじめ定めた時期や頻度にかかわらず、材料費の大幅な変更等経済情勢の変化や発注内容の変更に応じ、対価について随時再協議を行い、改定を行うこと。
2-3.下請代金の支払については、発注に係る物品等の受領後、できる限り速やかに、かつ、できる限り現金で支払うものとし、少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとすること。手形で支払う場合には、手形期間の短縮化につき最大限の配慮を行うこと。
2-4.親事業者は、海外進出等に際しては、その計画について下請事業者に必要な情報を逐次提供しつつ、製品等の多角化、新規親事業者の開拓等下請事業者が対応を図ることに対し、下請事業者の要請に応じ積極的に支援を行うこと。
2-5.親事業者は、工場移転等に際しては、その計画について下請事業者に必要な情報を逐次提供しつつ、製品等の多角化、新規親事業者の開拓等下請事業者が対応を図ることに対し、下請事業者の要請に応じ積極的に支援を行うこと。
2-6.短期間における経済情勢の急激な変化により、親事業者が影響を受ける場合には、その影響は極力親事業者自身が吸収するとともに、下請事業者に不当に転嫁しないよう努めること。
→経産省HP(国立国会図書館インターネットアーカイブ資料にリンクしています)
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池田ビジネスコンサルティング