先日4月25日、中小企業庁から2014年版の中小企業白書が公表されました。
全900ページにもわたる大ボリュームですので、紙でなく公開データをPC等で読むのが正解かもしれません。
ところで本白書中、中小企業支援の在り方、というところを読んでみますと、行政と他の公的な支援機関との連携が必要だ、と強調されています。
一方、私のようなコンサルタントに区分される中小企業支援者について、何でもできるので連携の必要がない、連携のインセンティブがない、と分析されています。だとしたら、最初からコンサルタントに相談した方が手間がないような気もします(苦笑)
そもそも一人でできないから連携せよ、とするところ、一方では一人でできる人がいるんですから、そちらに頼めば、無駄に仕事増やす必要はないと思いますがいかがなものでしょうか。
財源不足と人員不足が当該公的機関の連携を妨げているものであるという結果があるならば尚更。
目的を達するための合理的な方策としては、ゼロからやろうとしないでできる人に頼んじゃえ、です。
とはいえ、こちらは頭の良い官僚のみなさんがこしらえたもの。そんなことは百も承知(たぶん)。
つまり、自分たちを要らない、とするような結論には間違っても持って行くことはしない、という見方ですね。
実際のところ、コンサルタントといってもその能力はピンキリです。コンサルタントに依頼するといっても、依頼基準が明確でなければ、行政としては(判断が常に法律に則ってなければならない)簡単にはいかないでしょうね。
では、依頼基準作るとなる、とこれまた(ホントに)難しい。今度は評価基準を作らなくてなりませんので(汗)
なので、そこは実際に利用する企業に任せて、それに対し補助出す、という方法が現実的には一番中小企業の役に立ち、効果的なのかしらと思います。
発表内容はこちら↓
http://www.meti.go.jp/press/2014/04/20140425001/20140425001.html
第 1 部 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向
我が国経済は、2013 年に入って、底堅い個人消費や企業マインドの改善等を背景に、一部に弱さが残るものの持ち直しの動きを見せ、足下では緩やかに回復している。
中小企業の景況判断は、着実に改善しているものの、小規模事業者の景況判断は、中小企業・小規模事業者全体に比べると低い水準にある。
その一方で、原材料価格の高騰等を背景に、中小企業の収益環境は引き続き厳しい状況にある。
中小企業が比較的弱いとされる価格転嫁力について、70 年代半ばから分析すると共に、中小企業の収益力向上のために、価格転嫁力の向上と労働生産性の向上が必要であることを示す。
第 2 部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化
●我が国の中長期的な構造変化
中小企業・小規模事業者が直面する中長期的な経済・社会構造の変化として、人口減少・少子高齢化、海外との競争激化、情報技術の発達、就業構造の変化等について概観する。
人口減少・少子高齢化等による需要の縮小という厳しい事業環境が予想される一方で、外国人観光客の取り込みや情報技術の進展によるビジネスチャンスも広がっており、これらを踏まえた、中長期的な経営戦略の必要性を説く。
●地域の抱える課題と地域活性化
我が国の経済・社会構造が変化する中、地域経済は特に厳しい。地域が抱える課題である、人口減少・少子高齢化、商店街・繁華街の衰退について分析する。
とりわけ、人口減少・少子高齢化については、2040 年までの中長期的な観点から、独自の分析を行う。
また、これらの課題を解決し、地域活性化の切り札となり得る「地域資源」についても概観する。
具体的には、「農水産品」や「観光資源」の活用の必要性を説く。
第 3 部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来
●小規模事業者
地域の経済社会・雇用を支える重要な存在たる小規模事業者の現状、実態、課題等について、約 18,000 社のアンケートに基づき、商圏に基づく類型化(地域需要志向型、広域需要志向型)や組織形態に基づく類型化(維持・充実型、成長型)など本格的な構造分析を行う。
小規模事業者の最大の課題は「需要・販路開拓」であるが、地域需要志向型の小規模事業者は、住民との信頼関係を活かしたニッチな需要の掘り起こしを目指すべきこと、広域需要志向型の小規模事業者は、インターネット販売の活用や大企業とのマッチングを通じた需要開拓を目指すべきことを提言する。
●起業・創業
起業・創業は、新たな地域経済の担い手を創出すると共に、産業の新陳代謝を促す。
しかしながら、我が国の起業希望者は激減しており、開業率は欧米諸国の半分又はそれ以下となっている。
こうした現状を踏まえ、起業に至るまでのステージに応じて、女性、若者、シニアに特に焦点を当てた課題分析を行う。
この結果、我が国の起業・創業を活発化させるためには、「起業意識」、「起業後の生活・収入の安定化」、「起業に伴うコストや手続きの低減」という三つの課題への対応が必要であることを明らかにすると共に、それぞれについて具体的な対応策を提示する。
●事業承継・廃業
経営者の高齢化の進展に伴い、事業承継は喫緊の課題となっている。近年、「親族内承継」の割合が低下し、「第三者承継」の割合が増加している一方、経営者の意識や準備状況は十分とは言えない。
このため、「第三者承継」を円滑に実施していくため、早期の意識付けの必要性と具体的な支援体制の在り方について提言する。
近年、休廃業・解散件数が増加傾向にあり、その主たる要因も経営者の高齢化にある。
廃業に関する最大の課題は、家族や親族以外、誰にも相談できる相手がいないという点にあるため、廃業に関する基本的な情報提供、匿名性に配慮した専門家支援等、具体的な対応策を提示する。
●海外展開
人口減少等で国内市場が縮小する中、旺盛な海外需要を取り込むべく、中小企業・小規模事業者は、積極的に海外展開(輸出・直接投資)をしている。
輸出と直接投資のそれぞれについて現状分析を行い、成功と失敗の要因を探ると共に、海外への一歩を踏み出すために必要なこと、及び、直接投資先からの撤退についても分析している。
今後ますますニーズが高まる中小企業・小規模事業者の海外展開について、公的支援機関だけで全て対応していくことは現実的ではない。
このため、専門性を有し、きめ細かいニーズにも対応できる民間の海外展開支援事業者との連携も模索する。
●新しい潮流
経営資源に乏しい中小企業・小規模事業者にとって、IT を活用して、外部から必要な人的資源を調達する「クラウドソーシング」や、資金を調達する「クラウドファンディング」は、長年の経営課題を克服する可能性がある。
事業を通じて社会的な課題を解決することで、社会価値の創造と企業価値の創造との両立を可能とする「CRSV(Creating and Realizing Shared Value)」という考え方は、地域に根ざした事業を行う中小企業・小規模事業者の一つの「生きる道」にもつながることを示す。
第 4 部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方
●中小企業・小規模事業者支援の現状と今後の課題
中小企業・小規模事業者にきめ細かく支援施策を届けていくためには、国・都道府県・市区町村が、互いに連携していくことが不可欠であり、その連携を促進する一つの手法として、すべての施策を検索し、比較・一覧できる「施策マップ」を構築する。
商工会・商工会議所を含めた中小企業支援機関全体の現状と課題について分析すると共に、中小企業支援機関同士、自治体と中小企業支援機関との連携状況についても概観した上で、モデルとなりうる連携事例を複数紹介する。
最後に、「よろず支援拠点」を含めた今後の中小企業・小規模事業者支援体制の在り方について提言する。
●施策認知度
地域経済を支える 385 万者の中小企業・小規模事業者に施策情報をしっかりと届けていくためには、中小企業・小規模事業者、中小企業支援機関、自治体の3 つの視点から、中小企業・小規模事業者施策の認知度、活用状況、評価等について、それぞれ分析していく。
本分析に基づき、国は、今後、都道府県のみならず、市区町村や中小企業支援機関向けの Face to Faceの施策説明会を、早期かつ積極的に実施する。
また、「施策マップ」やメルマガの充実に加え、施策担当者が動画でわかりやすく施策を説明する。
●コネクターハブ企業と地域産業構造分析システム
地域経済活性化の「鍵」を握るのは、地域経済に資金を域外から調達し、域内に配分している「コネクターハブ企業(地域中核企業)」である。
民間調査会社が保有する膨大な企業間取引データ(ビッグデータ)を活用し、このコネクターハブ企業を抽出するとともに、地域経済における産業構造の実態を空間的かつ時系列的に把握し、国や都道府県・市区町村による地域産業政策や地域活性化政策の立案を支援する「地域産業構造分析システム」(2014年中の開発予定)について、説明する。
本システムの主要な三つの機能は、
①全産業花火図:地域内における主要産業の全体像を把握する。
②産業別花火図:行政区域を超えた取引ネットワーク、産業構造を把握する。
③企業別花火図:コネクターハブ企業を中心とした取引関係を把握する。
中小企業経営者の悩みに寄り添った事業再生・再成長支援
池田ビジネスコンサルティング