事業再生コンサルコラム 2025年4月15日号

黒字倒産~勘定合って銭足らず

決算や試算表では利益が出ている(つまり黒字)のに、手許資金がないことを「勘定合って銭足らず」といいます。

経営者とすれば黒字の報告を受けて、ほっと一安心のはずが、黒字なのに金欠とはどういうことでしょうか。

時として倒産に至ることもあるこの現象について今回はお話していきたいと思います。

 

なぜ黒字なのにお金がないのか

黒字なのにお金がない、この現象がなぜ起きるのか。結論から言うと、締め支払のタイミングにズレが生じるからです。

 

日本のビジネスでは一般的に掛け払いの仕組みがとられていて、大体が末締め翌末払いとなっています。よって、仕入から納品・請求まで1ヶ月以上かかる場合、仕入の支払いが売上代金の入金よりも先に来ることになります。

 

これが黒字なのに金欠となる理由です。

ものづくりビジネスでは大抵、このような費用先行型の資金繰りになります。 

入金より先に支払がくる場合、その分手許に支払資金を用意しておかねばなりません。

 

これが運転資金です。

現金商売が手堅い、とよく言われますが、お金の入と出が一致もしくは入のほうが速いという特徴から、手許資金が要らずに済む、資金繰りをあまり考えずに済む、お金を借りずに済む、という安全面を表したものと言えます。

ちなみに運転資金は、売上債権+在庫-買入債務で算出します。

不渡り→倒産の恐怖

儲かってるのに金欠の状態は、事業が成長中の局面で起きやすい傾向にあります。

 

どんどん仕事が舞い込み、どんどん仕入れてばんばん売ってはいるものの、費用が先に出ていけば支払負担はとめどなく増大しお金が足りない状況に陥ります。

 

お金がない(銭足らず)と、支払や返済ができません。当座の決済資金も枯渇していきます。当座残高が不足し手形が決済できないと“不渡り”となります。不渡りを2回出すと銀行取引停止処分となり、これは世間的に言う倒産です。

 

ついては2度目の不渡りがでないよう、経営者は当面の決済資金調達に駆け回ることになります。が、不渡りを出したような会社に融資してくれるような金融機関は普通ありません。

 

時間的な猶予も少なく、短期間で必要額を集めなければならないため、大変苦しい作業となります。これはなかなかのストレスです。大抵の場合、高金利に手を出す等々、悪い方向に転がっていきます。(手形のジャンプという方法もありますが)

まとめ

黒字倒産のおそれは日本の掛け支払い、締め支払の商慣習において、事業規模が成長段階にあればあるほど直面するものです。

 

在庫日数の短縮や必要運転資金の低減意識を高め、資金回転サイクル(CCC:キャッシュコンバージョンサイクル)を改善(CCCを短く)し、より強固な財務体質を、潰れにくい会社を築いていきましょう。

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