事業再生コンサルコラム 2024年11月18日号

フリーランス新法で発注側が気を付ける点

今年2024年11月1日、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。

メディア等でも話題になっていますので、聞いたことある、という方は多いのではないでしょうか。

最近ですと、出版のKADOKAWAさんがライターさん等への買いたたきが問題になっています。

出版だけでなく、システムやウェブ関係の業務をされている会社さんはフリーランスの方とのお付き合いも多いかと思います。フリーランスさんとお取引がある事業者さんは要チェックですね。

違反には罰則も

ちなみに、フリーランス新法に違反した場合には、罰則もあります。

違反があった場合は段階によって、担当省庁の調査→指導・助言、勧告→命令・公表されることになります。命令に違反した場合は50万円以下の罰金です。

 

50万円なら大したことない、と高を括る御仁ももしかしたらいるかもしれませんが、違法状態であることを受け入れるような会社は少なくとも上場企業ではありえないでしょう。

公共事業や補助金、協力金などを受けている企業も使えなくなる可能性が高いです。さらに、叩いた減額分の返還訴訟などあればなかなか苦しい状況になるのではないでしょうか。

発注側が気を付けるべきポイント

(1)発注先がフリーランス法上のフリーランスなのか確認

まずは、発注先のフリーランスさんが法の適用対象か対象じゃないかをチェックしておきましょう。

「業務委託の相手方である事業者で、従業員をしようしないもの」がフリーランス法上のフリーランスの定義です。普通、フリーランスで従業員がいるような人は少ないかもしれませんが、カメラマンでアシスタントを雇っている場合などは対象外になりそうですね。

 

(2)発注する場合は文字で残す

メールでもOKなので、依頼内容を書面に残しておく必要があります。

また、決めておかないといけない内容が8つあります。

①発注事業者とフリーランスそれぞれの名前

②依頼日(合意日)

③業務内容

④納品日

⑤納品場所

⑥検収日(該当する取引の場合)

⑦報酬と支払期日(成果物・サービスの受領から60日以内)

⑧支払方法(現金以外の場合)

 

こちらも忘れずに記載しておきましょう。

 

(3)やってはいけない行為

フリーランスに1か月以上の業務委託をした場合には、7つの禁止行為が定められています。

違法という認識がなくとも、相手方の了解を得ていても、違法であることに変わりないので要注意です。

〈7つの禁止行為〉

①受領拒否

②報酬の減額

③返品

④買いたたき

⑤購入・利用強制

⑥不当な経済上の利益の提供要請

⑦不当な給付内容の変更・やり直し

 

(4)フリーランス募集内容を正確に

当たり前ですが、だますような内容の案件情報はいけません。

業務の内容や従事する場所・期間・時間、報酬、解除事由、自社の内容の計5項目ついて情報を出す場合、具体的な内容を示す必要があります。

 

(5)育児介護と業務の両立配慮

6ヶ月以上の業務委託の場合には、育児や介護と両立できるよう配慮しなければなりません。

配慮内容的には納期の変更や業務遂行方法の変更、調整などになります。

 

(6)ハラスメント対策

ハラスメント行為が起きないよう、ハラスメント禁止の明確化や苦情対応体制の整備などを措置を講じなければなりません。

中小企業だとここまで手が回ってない会社も多いかと思いますが、こちらも義務なのでやらないといけません。

 

(7)中途解除の場合は原則30日前予告

6ヶ月以上の業務委託の場合に中途解約する場合は、原則30日前予告が必要です。

一般的なところと思いますが、いきなりバッサリするような商慣習がある(ひどい話と思いますが)ような商売をされている会社さんは気を付けないとですね。

なお、中途解約の理由を教えてと言われた場合には基本的に文字ベースで回答する必要があります。

 

更に詳しいお話を知りたい、という皆様には、中小企業庁Webサイトのフリーランス法ページをご紹介しておきます。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html#law_point

がさまざまリンクも貼られていて使いやすいかと思います。

 

以上ご参考まで。

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池田ビジネスコンサルティング

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