経営コンサルタントコラム 2015年8月15日号

経営者の皆さん、入ってますか?小規模企業共済。

ほぼ週刊と銘打っておきながら、ひと月も間隔が空いてしまいました。

前回は梅雨真っ只中でしたが、今は猛暑。月日が経つのは早いものです。


さて、今回は小規模企業共済についてお話しいたします。


経営者の皆さん、入ってますか?小規模企業共済。

 

小規模企業共済をご存知ですか?

既に入られている方はいうまでもありませんが、知らないという方、これを機会にぜひ加入しましょう。


小規模企業共済は、(独)中小企業基盤整備機構が運営している、個人事業をやめたとき、会社等の役員を退職したとき、個人事業の廃業などにより共同経営者を退任したときなどの生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度です。


つまりは経営者の退職金です。

イメージとしては積立タイプの保険に近いですかね。

独立行政法人がやっている(まあ、経産省なり中小企業庁なりなわけですが)ので、いろいろ優遇されてます。


優遇の一番は税金。


共済金の掛け金は全額損金計上できるんです。


この共済は年間マックスで84万円まで掛けられます。

例えば、所得金額が1000万円の方なら所得税率は33%ですから、84万円の33%、27万7200円が節税できちゃう、ということになります。すごいですよね。4年で100万、10年で277万、20年なら550万円も税金が浮くことになります。


しかもこちらは元本フルカバーです。(解約の場合は元本はフルカバーされませんが、普通に退職したりする分には保証されています。)


掛け捨てでない貯蓄型の保険で元本が保証されているものはありません。

また、保険料が全額損金になるものもありませんから、すごい優遇です。


また、この共済金受給権(共済金をもらう権利)は差押禁止債権にもなってます。


これまたすんごい優遇です。なにがすごいかというと、自己破産したときも共済金は取られない、ということなんです。驚愕です。

 

普通、破産すると持ってる資産は換価(お金)にして、債権者にお渡しすることになるわけですよね。とはいえ丸裸になってしまうと生活ができなくなってしまうので、生活に必要な資産は自由財産として、これはとられないよう破産法は規定されています。


具体的には99万円以下の現金とかですね。あとは年金もとられません。生活保護の受給権とかもとられませんね。そもそも破産は経済生活再生のためのものですから、生活に必要なものはとられない法律になってるわけです。はい。


で、


この共済金受給権も年金同様とられないんです。

差押禁止債権として、年金や生活保護受給権と同じ扱いを受けます。


しかし、年金などはわかりますが、この共済受給権が生活に必ず必要かというと。。。さてさてどうなんですかね?

 

実際、小規模共済に入っていない人も世の中にはいらっしゃいます。

入っていなければその分は現金なりで持ってるわけです。

となれば、それは破産財団に組み込まれて債権者にお返しする原資になります。

しかし、この共済はそうならないわけで。


例えば20年共済入ったとして、年84万円の掛け金だと1680万円ですよね。破産しても1680万円もどってくるわけです。現金で持っていたらすべて債権者にお返しすることになりますから、ゼロ円です。


入ってるか入ってないかで生じるこの差。

なんとなく平等でない感じがしませんか?

つまりはそれだけ優遇されているということです。


退職金は差押禁止債権(4分の3まで)ですから、この共済が経営者の退職金の意味合いであることを鑑みると差押禁止債権なのもわかりますけどね。


一方、中には「いやいや持てるすべての財産をお返ししなければ人としてダメだ」という方もいらっしゃると思います。

大変すばらしいお考えかと思います。

でも家族の暮らしもあるでしょう。

弁護士費用だって用意しなければなりません。

お金がないから破産になるわけで、虎の子になるんです、この共済金が。


また、「破産なんて考える必要ないよ」という方、世の中何があるかわかりません。

東日本大震災をだれが予想しましたか?


そもそも10年先の経済環境なんて正直誰にもわかりませんよね?

(そんなことできたら株で大儲けできる)


中小企業の経営者は余程うまくやってなければ退職金などありません。

逆に業績が良ければ退職金などむしろ不要なくらいです。


退職金が欲しいときは、つまり、業績が芳しくないときなんです。

廃業が見えているときとか、会社をたたむとかそういう局面です。

ぎりぎりで会社をたたむ、そんなときの退職金1000万円がいかにありがたいものか。


そんな局面に立ち会ってきた私みたいな人間からアドバイスさせてもらうとすると、小規模企業共済は「絶対入るべき」です。


唯一のデメリットはキャッシュが年間84万円出ていくことだけ。

とはいえ、掛け捨てでないので実質負担はゼロ。

苦しくなれば掛金の変更も(月千円まで)可能です。

ゆえにデメリットはないに等しい。


国の制度だからこそ、いろいろと優遇されているこの共済。

使わない手はないですよね。


詳細はこちらの小規模企業共済HP(http://www.smrj.go.jp/skyosai/000876.html)をご参照ください。

 

池田 

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