ではお金的にはどうなってるか。
先々月最初の手持ち資金は45で、前月の売上が当月に入金されるとします。前月の売上は100でしたので、繰越分を入れて145が使えるお金です。
で、出ていく方を見ますと、
仕入額 85
+販管費 20
+借入返済 10(借入600を5年返済の月額)
―――――――――
支出 115
となります。
残ってたお金と入ってきたお金から出てったお金を引くと、
繰越分 45
+入金分 100
-支出額 115
―――――――――
残金 30
先々月は15のマイナスで残金は30となりました。
このままの状態で2カ月たつとお金が底をつきます。
でもこの段階で手を打てれば倒産は避けられますね。
そして何も手を打てず先月。
出ていく方は変わらず115です。
繰越分は30に減りました。
先々月の売上は100だったので、
繰越分 30
+入金分 100
-支出額 115
―――――――――
残金 15
支出変わらずの入金減少で残金が15まで落ちました。
ぎりぎり首の皮一枚で何とか資金ショートを回避したものの、すぐにでも手を打たないと資金ショート発生です。
損益上は粗利が倍増して黒字化した先月でしたが、現金収支上は倒産が迫ることになってしまいました。本来であればここで急ぎ資金手当てなり、支出の調整をしないといけない局面です。
で、今月。
厳しい景況下、奮闘するも売上は100を回復するのが精一杯。
しかし前月仕入れた在庫は市場にマッチせず、不良化。
損益的には、
売上高 100
月初在庫 55
当月仕入 85
月末在庫 30
売上原価 110
粗利 -10
販管費 20
営業損失 -30
経常損失 -35
粗利でマイナスという、本来あってはならない状況となりました。
現金収支的には、収入面では先月売上分の90、支出は変わらず115。
繰越分 15
+入金分 90
-支出額 115
―――――――――
残金 -10
資金ショートです。
販管費の半分を払わないか銀行返済をやめるかしないとお金が足りません。
事態が判明後すぐに銀行さんに融資相談に行きましたが、間に合わず。
遊休不動産を担保にノンバンクから資金を30、融通してもらい、当面の事なきを得ました。
繰越分 15
+入金分 90
-支出額 115
―――――――――
残金 -10
+借入 30
―――――――――
残金 20
しかし今のままではまた資金ショートに陥りますので、売上増加はもちろん、コスト削減努力をしないといけません。収支は、返済猶予と役員報酬を未払いにして支出を減少させます。
繰越分 なし
+入金分 100 ←今月の売上
-支出額 100 ←借入返済10を猶予、役員報酬5を0に
―――――――――
残金 0
これでなんとかトントン。
こうしている間に販管費の圧縮、計画的な仕入等改善を図り、収支がプラスになるようにしなければなりません。
まさに再建の局面に入ってくることになります。
黒字回復!と喜んだのにこの状態。
(つづく)
池田輝之
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