経営コンサルタントコラム 2014年8月16日号

黒字の理由(わけ)を探る(1)

■黒字とは?

 

原則、黒字はいいことです。

しかし、「良い」と判断するには、この黒字がどうやっ てできているか、そもそも黒字とはどういうものかを知っておく必要があります。( 黒字でも倒産する場合があるのはご存知の通り。黒字だからって安心はできないのです。)

 

黒字というのは一般的に、収益から費用を引いた数字がプラスである(利益が出ている)ことを言います。

 

収益-費用>±0

 

ということですね。

 

収益は、売上高の他に家賃収入などの営業外の収入や株の売却益など一時的なものも含まれます。費用とは、交通費や給料、仕入の代金や支払っている利息など事業運営上必要な経費が思い浮かびます。

 

収益から費用を引いたものがプラスなら黒字(利益が出ている)ということですから、

 

収益の全部-費用の全部>±0

収益の全部-費用の全部=税引前当期利益

∴税引前当期利益>±0

 

となります。ちなみに、この後に控えているのは税金です。法人税等。

法人税等は税引前当期利益に対し約4割掛かります。税コストですね。

こちらを引くと、税引き後当期利益が算出できます。

ちなみに、各業界ごとの税引き後当期利益平均値は、売上パーセントでいうと、

 

 

建設業          -0.1%

製造業           0.9%

情報通信業         1.8%

運輸業           1.1%

卸売業           0.6%

小売業           0.3%

不動産・物品賃貸業     1.9%

専門・技術サービス業    0.7%

宿泊・飲食サービス業   -0.8%

生活関連サービス・娯楽業  0.6%

その他サービス業      1.4%

(出典:同友館「中小企業実態基本調査に基づく経営原価指標24年発行」)

 

と、このようになっています。

 

 

■黒字の理由を探る

 

しかし、費用まるめてどーんと引いて黒字や赤字といわれてもなぜ黒字なのか、赤字 なのか理由がわかりません。そこで使われるのが損益計算書です。こちらは損益の状況を記載したものです。

 

損益計算書は、費用をその種類によって分類し、売上から順繰りに引いていくという 構造となっています。簡単に言うと、

 

売上高から原価を引けば粗利が出て、

粗利から販管費を引けば営業利益が出る。

営業利益に営業外の収益を足して費用を引けば経常利益、

経常利益に特別利益を足して費用を引けば税引前当期利益

税金を引けば税引後~が出ることになります。

 

売上高を1,000として、この構造で計算すると以下のようになります。

【損益計算書の構造】   

  売上高       1,000

-)売上原価       750

= 売上総利益(粗利)  250

-)販管費        150

= 営業利益       100

+)営業外収益       10

-)営業外費用       30

= 経常利益        60

+)特別利益        10

-)特別損失        10

= 税引前当期利益     60

-)法人税等        24

= 税引後当期利益     36

 

粗利、営業利益、経常利益、税引き前・後当期利益と黒字赤字が判断できる5つの利益があるわけです。 ついては、それぞれの利益でプラスかマイナスか判断ができることになります。 つまり、それぞれの利益はどのようなものなのか、利益の属性により、黒字赤字の要 因がつかめることになるわけです。

 

それぞれの利益の特徴・属性はというと、 粗利は、売上から原価を引いたもので、販管費を引く前のもの。 営業利益は、粗利から販管費を引いたまさに営業での利益を表すもの。 経常利益は、営業利益から営業外の損益を足し引きしたもので、事業全体の通常な利益を表わすもの。 税引前当期利益は、経常利益から通常でない一時的な損益を足し引きしたもの、となっています。

 

たとえば、営業利益が黒字なら、粗利が大きいか販管費が少ないか、またその両方かと いう3つの見立てができるわけです。

 

少々長くなりましたので、続きはまた次回。

次回は売上原価のトリックについてお話します。

 

池田

 

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