先日、金融庁より平成25年の監督方針及び金融モニタリング基本方針が公表されました。
銀行等金融機関が逆らえない“方針”ですから、銀行の動きはこの方針を見ればある 程度想像できる、ということになります。
銀行と対峙する機会のある経営者の方は押さえておきたい情報ですね。
敵を知り己を 知れば百戦危うからず、です。
とはいえ、それをひけらかすのは嫌味ですから、あくまで戦略・戦術の一助として使 いましょう。
さて、監督方針ですが、銀行関係ですと、主要行向け(いわゆるメガバンク)と中小 ・地域金融機関(地銀や信金信組など)に分かれています。
実際は殆ど内容は同じなので、中小・地域金融機関向けの内容を中心に掻い摘ん で見ていきたいと思います。
まず、求められる役割について。
・成長分野等への積極的な資金供給
・中小企業の経営改善及び体質強化支援の本格化
・経営陣が責任ある迅速な経営判断を行う
・5~10年後を見据えた中長期の経営戦略を検討
次に、金融庁の監督姿勢。
・ビジネスモデルの持続可能性について適切な検証ができているか
・短期及び中長期経営戦略が描けているか
それと、金融機関の自主的な経営改善・経営判断に資する行政を目指す、ということ も標榜されています。
「ガンジガラメにしないので、自律でぜひ。そのかわり時代の変化に対応できないと ころは覚悟してね。」 という風にも聞こえますね(汗)
そして、重点監督分野。
ここは金融庁の資料そのまま見てもらいましょう。
1.中小企業の経営支援をはじめとした積極的な金融仲介機能の発揮
(1)東日本大震災からの復興に向けた金融面からの対応
・二重ローン問題への対応(東日本大震災事業者再生支援機構、個人債務者の私的整 理に関するガイドライン等の活用)
・復旧・復興に向けた資金需要の対応状況 等
(2)成長可能性を重視した金融機関の新規融資の取組みの促進
・顧客企業の経営改善、事業再生、育成・成長につながる新規融資の積極的な取組み
(3)地域密着型金融の深化 ・顧客のライフステージに応じたコンサルティング機能の発揮 ・地域経済の活性化への貢献 ・地域や利用者に対する積極的な情報発信
(4)中小企業に対する経営改善支援等
・本事務年度は、金融機関として、中小企業の経営改善・体質強化の支援を本格化さ せる重要な1年
・外部専門家・機関等とも連携したコンサルティング機能の発揮
・条件変更等を行った中小企業に対する真に実効性ある経営再建計画の策定支援と進捗状況のフォロー
・地域経済活性化支援機構等との連携による事業再生
・地域活性化の支援、経営改善 等に携わる人材育成やスキルの向上
・事業再生ファンドの設立・活用促進、エクイティファンド等を活用した創業支援 等
(5)個人向けローンに関する取組み
・住宅ローンの商品性に係る適切かつ丁寧な顧客説明
・健全な消費者金融市場の形成に向けた取組み等
なるほど。
中小企業に対して今のままのサービスじゃ困るんです、ということですか。
しかし新規融資の取組やコンサル機能ってできるんですかねぇ。
「そんなことできる人材いないと思いますけど」という声を予想してか、人材の育成とも書いてあります(汗)
積極的な金融仲介機能の発揮を監督重点分野としておいているわけですから、預貸を上げていかねば御取り潰しもあるかもしれません。
こわいですねぇ。
となると、中小企業に対してお金が流れてきそうな気配も。
実際、今でも財務状況の良い会社には銀行さんが借りて借りてと日参しています。
一日机を開けると、次の日には金融機関の名刺が山盛り、みたいな状況。
借りる必要がないので借りないですけどね。
普通に貸せないところに如何にして貸すか、という視点で新しいサービスを生み出さないと中小金融機関は生き残れないでしょうね。
今後、国の方針に従って金融機関が積極姿勢に動くのか、状況を注視してまいりましょう。
池田
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