経営コンサルタントコラム 2013年3月24日号

経営者の「自信」

企業再生のご相談で伺う企業さんのほぼ100%が実質の債務超過です。

債務超過とは、保有の資産よりも負債の方が大きいことをいいます。

つまり、資産を全部処分しても負債が返せない状況ですね。

 

債務超過となるくらい借入金がある会社は、逆に言えば、借りられるだけの信用力が(当時)あった、ということでもあります。言い換えれば、それだけ信用力のある会社を築き上げることができていたわけですね。信用を得たという意味では、これは誇るべきことです。

 

厳しい経営状況にある社長さんに忘れないでいただきたいことがあります。

 

今は大変な状況だとしても、すべての過去を否定することはありません。自信を失わないで欲しいのです。再生にあたって経営者さんに先ず持っていただきたいことは、「俺がなんとかしてやる」「俺はなんとかできる」という自信です。実際は厳しい経営状況に陥っているわけですから、自信など持てないかもしれませんが、根拠は無くていいのです。

 

自信は「自分を信じる」と書きますね。自分を信じる、ということですから、自分で信じればいいわけです。他人は関係ありません。自分のなかで完結する問題です。

 

気を付けて欲しいのが「自分は正しい」ということと「自分を信じる」ではまったく意味が違うということ。

 

自己肯定は他人否定に流れやすい性質を持っています。「俺は正しい」は誤りです。そう思った瞬間に思考が停止します。負の情報が頭に入らなくなります。いわゆる「裸の王様」です。これは経営者にとっていいことではありませんし、会社にとってもマイナスです。

 

「間違いを起こすことに自信を持っている」は妙な表現ですが、自信という言葉の特性をよく表していると思います。

 

どんな経営者も正しい判断をしたこともあれば、悪い判断をしたこともあります。それが人間です。今、経営の危機等窮境に喘いでいる経営者さんは、過去の悪い判断がたまたま(判断から紐付けば、必然的に。)大事故に繋がった、わけです。

 

車を運転していて、「このスピードなら曲がれるな」「この車間なら避けられるな」と考えていた人は事故を避けられやすいはずです。なにも考えずふと気が付くと限界以上のスピードでコーナーに飛び込んでいた、ですとか、ボ~っとしていたら車間が思いのほか狭くなっていた、ですとか、不注意、言い換えれば「考えていない」ことが事故を引き起こします。

 

会社が傾くときも似ています。

業績が伸びているときは、いけいけどんどん、いい調子です。いけいけどんどん、景気がいい言葉ですね。決して嫌いではありませんが、その裏は盲目的に突っ走ることを包含しています。まわりからいい情報(苦言ですとか)が入っても真摯には聞けません。なにせ「自分は正しい」状態ですから。もったいないことです。

 

そういえば事故の原因は不注意でしたね。

 

調子がいい時に見えない、気づかないことが将来の窮境に至る原因となることがほとんどです。種が蒔かれ、ときにすでに芽吹いていることもあります。これまでたくさんの再生相談を受けてきての、実感です。

 

自己肯定・他人否定の罠にハマらないよう注意していただいて、会社の再生、再成長の道を社員の皆さんとともに進んでいただきたいと思います。

 

池田

 

 

 

 

 

 

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