経営コンサルタントコラム 2013年3月1日号

再生計画書作りが目的ではない

借入金の返済がままならなくなり、金融機関にお願いして返済を猶予いただく局面になると、経営改善計画書や事業再生計画書の作成を要求されます。

求められる計画書は何十ページにおよぶような書面・資料になることが多いです。こういった資料の作成になれていない(中小企業さんですと大抵の方は初めての経験)と、この対応にてんやわんやの状況となります。

計画書作りには大変労力を要しますので、いつのまにか計画書作りが事の中心になってしまいます。作るのが目的ではなく再生するのが目的、という本質をついつい忘れてしまいがちです。

 

再生計画は、基本的に売上については増加・成長をあまり(ほぼゼロ成長)見込まず、減少を食い止める程度にして、コスト削減による収益良化を目指し ます。営業というのは見込みづらい項目ですからね。ということは、あとどのくらいコスト削れるの?というところさえしっかり抑えてしまえば、計画数値自体 はすぐに埋めることができます。

数字が出来てしまえば収益予想が当然見えてきます。収益が予想できれば、お金がどのくらい残りそうなので、どのくらい返せて、完済までに何年掛かるということがわかりますね。

それをもって、金融機関さんに説明にあがり、納得いただけるか、納得いただけないようであれば、納得いただけない点を修正するのが計画書作りのプロセス、作業ということになります。

 

どうですか?そんなに難しい話ではありませんでしょう?

 

パソコンが使えないと作業的には面倒ですが、それだけです。

多少の知識があれば誰でもできます。事業を一番良く知っているのは会社の人ですから、会社の人抜きに計画書は作れませんし、外部に頼まず(どうして も、という場合はお手伝いしますが)、会社の方で作成されるのが一番手っ取り早く、間違いない方法です。そもそも事業を良く分かってない人間が作った計画 書なんて、見栄えのいいものにはなるかもしれませんが、実業には全く意味の無いものです。再生計画書は基本的に自分で悩み、考え抜いて作らないといけませ ん。魂のこもっていない計画書はただの数字の羅列です。

 

忘れていけないのは、計画書を作るのが目的ではない、ということです。

計画書はあくまで、経営改善の、事業再生の設計図です。

リスケが目的ではなく、コスト削減が目的ではなく、会社の再生が目指すべき目的なのですね。

 

ついては、できた設計図をどうやって実現するかが一番大事。

 

実現するのは誰か、人ですね。

会社で働く従業員さん、経営陣、それぞれがそれぞれの仕事をきちんと考え、しっかり行動する、してもらう、これが一番大切です。

ではどうやってしっかり動いてもらうか。やる気をもって働いてもらうにはどうすればいいか。これを考え、改善の戦略を導き、実行していくことが再生の実現には必要です。

人間生来、やる気のない者はいません。何かがやる気を阻害しているのです。

 

そもそも経営が傾く、窮境にいたるにはいろいろな失敗、ミスがあったからですね。経営者さんには厳しい話かもしれませんが、大抵は経営判断の誤りで す。勘違いして欲しくないのですが、あくまで「結果的に」ということです。商売で最初から正解が分かっているものなどないですから。後から考えたら、あの 時の判断が間違いだったな、ということです。

 

その判断ミスをもう一度起こさないように、できるだけ起きないようにするためにはどうすればいいか、失敗から学び、それを無駄にしないために、理屈で考え、理屈で答えを出しましょう。必ず感情が邪魔しますので、気合で追い払ってください。

 

再生計画はあくまで会社再生の設計図です。

いくら良い設計図も実際に組み立てられねばただの紙切れです。

自分たち(←「たち」が重要)は再生するんだ!という気概を持って、社員一丸とならねば再生実現はおぼつきません。

 

計画作りだけでなく、その数字を積み上げるのは「人」だという観点を忘れずに。

 

企業は人なり。

 

池田

 

 

 

 

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