私が相談を受けた会社さんは、100%再生しています。
・・・胡散臭いですか?(笑)
ウソのようですがホントなんです。
ただホントにする(する、という時点でキナ臭い感じがしますが)ためには、再生という言葉の定義、特にその時間的な概念を説明しなければなりませんが。
一体何をもって再生というのか。
これが案外とむずかしいのですね。
利益が出た事をもって再生というのか。
債務超過でなくなることをもって再生というのか。
倒産の可能性がなくなることをもって再生というのか。
資金繰りの目途がついたことをもって再生というのか。
実をいうと、法律みたいに「再生とはこれこれ」という具体的な決まりがないのですね。
一番大きい枠組みは資金繰りに目途をつけ、当面の倒産を回避したことをもって再生というパターン。
倒産回避は余程の事情でなければ、ほぼ100%できます。
特に手形を発行していない場合は(こちらの言うことをやってくれれば)間違いなく、100%可能です。資金の入と出を管理して、出過ぎないようにすればいいのですから、自分の努力でなんとかなる話(いろいろ取引先さんにご協力いただくこともありますが)ですね。
で、期間的な話をしますと、倒産回避の支援は、「倒産するー」と駆け込んでいらしてからの関与ですから、半年くらいのお手伝いとなりますでしょうか。先に申した通り、倒産回避はできるわけで、ここで支援が終われば実績としては再生実績確立100%!となります。なので、私の実績は(短期的には)再生100%(笑)ウソではありません。
しかし、この企業がこのままずっと事業を継続していくか、というと実はそうではないのですね。なかには(実際のところは半分以上かも)潰れる会社も出てきます。困ったことに、時間を経過すればするほど再生確立が減っていきます。(苦笑)
倒産回避は資金繰りの調整で一時的に解決してしまうわけで、これに成功すればとりあえずは潰れずに済むことになります。となると当面の困りごとが無くなりますね。とすると依頼者の社長さんから、「いやぁ、よかったよかった。コンサルさんのおかげで倒産せずに済みました。ありがとう。もういいよ。」とお褒めの言葉を賜り、コンサルティングが終了する(あるいはフィーが払われなくなる)パターンに流れていきます。
これはこれで再生確立100%となるので(短期的には)、実績として良いといえば良いのですが(プロとしてやることはやりましたよ的な)、実をいうとこのパターンの会社は後々倒産する確率が高いのです。
なぜか。
倒産しそうになった原因にはなんら手を付けられていないから。
コンサル業をそれなりにやっていれば、倒産寸前までにいたった原因は、たいていすぐに分かります。コンサルタントは会社のお医者さんみたいなものですので。というのも、会社が傾く、というのはどちらかというと生活習慣病に近いイメージなんですね。糖尿病とか。生活を正していかないと根本的に治らないわけです。
となると、その改善は外科的にスパッと仕上がるようなものではなく、地道にコツコツと正していく、ということが必要になります。具体的に言うと、原因の多くが組織、究極言うと人の問題なので時間がかかるわけです。倒産回避では終わってしまっては本来道半ば、なわけです。
倒産回避支援を依頼されていれば、それができればこちらの仕事として満足は満足なのですが、どこか気持ち悪さも残るわけです、プロサイドとしては(苦笑)。「本当は再生していないのにな…」と。
表面上の理由は改善されていても、その根本原因が解決されていなければ、また問題が発生するのは必然。飲み過ぎで肝臓を悪くした人が手術でそれを直しても、酒を止めなければ意味が無いのと同じですね。しかし「ノドもと過ぎれば熱さ忘れる」とはよく言ったもので、これがなかなか治らない。ついては、また同じように苦境に陥ることを繰り返すわけです。
痛いですねぇ。
でもホントに多いんです。このパターン。
最後は自分に克てるか、なんですよね。
自分に克てれば、再生・復活します。間違いなく。
「答えは、あなたの中にある。」
せっかくに倒産を回避できたのですから、できるかぎり事業を継続していって欲しいものです。
池田
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