経営コンサルタントコラム 2013年6月24日号

会社を継ぐ人が知っておいたほうが良いこと(2)

『会社の財務状態を知る』

 

会社にいくら資産があって、いくら負債があるか。

いくら売ってて、いくら儲かっているか。

借金がいくらあって、それは返せる金額なのか。

 

財務諸表を見れば(一応)わかります。

 

さて、ここで財務諸表について。

財務諸表とは、前述の通り、ざっくりいうと会社の資産負債の状況と売上と利益の結果が載っている書類です。資産負債の状況を表したものを貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)といい、売上利益の結果が載っているものが損益計算書(そんえきけいさんしょ)といいます。

 

貸借対照表は、略語でB/S(ビーエス)と呼ばれることが多いです。一方の損益計算書はP/L(ピーエル)と呼ばれます。B/SはBalance Sheet(バランス・シート)の頭文字、P/LはProfit & Loss statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)の略語ですね。これからはこの略語を使っていきます。

 

早速見方。

 

B/Sは表の左側が資産、右側が負債と資本となっています。

構造的には、資産=負債+資本 という感じになっています。左の総額=右の総額ですね。つりあっているのでバランス・シートと呼ぶわけです。

持っている資産に比べて負債(借入など)が大き過ぎると、資本がマイナスになります。これを債務超過(さいむちょうか)といいます。例えば資産100なのに負債が150の場合ですね。この場合、資本は▲50となり、50の債務超過、ということになります。経営状況的には、かなりよろしくない状態です。資産を全部お金にしても負債を返せないわけですから。

 

さて、借金がいくらあるのかはどこを見ればよいかというと、右側、負債の部を見ればわかります。借入金が出てますね。借入金は短期と長期に分けられて記載されていますので、それを足したものが借入額となります。他、社債というものがあればそれも借入です。それを全部たせば借入が全部でいくらあるかがわかりますね。

 

はい、これでいくら借入があるのかがわかりました。

 

でこれが返せる金額なのかどうか、気になりますね。

 

返せるかどうか、ということは、つまり、返すためのお金を会社が生み出せているかどうかを知らねばなりません。

 

それは何を見ればいいかというと、P/Lです。損益計算書ですね。

損益計算書は、以下のような感じで構成されています。

 

売上、売上原価、売上総利益(俗に言う粗利)、販管費、営業利益、営業外利益、営業外費用、経常利益、特別利益、特別損失、税引前当期利益、法人税等、税引後当期利益。

 

売上があって、原価があって、粗利があって販管費を引けば営業利益です。簡単ですね。

 

ここで最後の税引後当期利益を見れば、いくら稼いだか、言い換えれば会社が返済する力があるかがわかると思った方、残念ながらそれは早合点です。

 

というのも、いわゆる「利益が出た」ということと、「いくら儲かった」こととは違うんですね。

 

それはなぜかといいますと、

 

P/Lの費用には減価償却費とか○○引当金繰入とか実際にお金が出て行かない費用項目が入っているからですね。同じように○○引当金戻入とか実際にお金が入ってこない利益項目もあるのです。なので、P/L上の○○利益が「いくら儲けた」と同じことにはならないんです。

 

なので、税引き後当期利益からこのお金の出入りを伴わない費用項目を戻しこんででた数値が実際の儲け額、事業を1年間運営して残ったキャッシュということになりますね。

 

これであなたの継ごうとしている会社が1年間でどれだけキャッシュを生み出せるかがわかりました。ついては1年間で返済できる限界額もわかりましたね。

 

次回は最後、キャッシュフローと借入額の関係をお話します。

 

池田

 

 

 

 

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