金融機関に支払猶予を申し込むと、実抜計画(じつばつ・けいかく)とか合実計画(ごうじつ・けいかく)とかいう言葉を耳にすることがあると思います。
実抜だの合実だのは金融機関側の問題なので本当は顧客に話すようなことではないのですが、銀行の方はとかくこういった専門用語風の言葉を使いがちです。
話す相手が中小企業の親父さんであることを考慮していない発言ですね。とはいえ、謎の言葉を発せられて狼狽えないよう、こちらもある程度その「じつばつ」や「ごうじつ」なる内容を理解しておくに越したことはありません。
先ほどから出ている実抜、合実という言葉ですが、そもそもこれはそれぞれ、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」、「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」を略した名称なのですね。そのままだと長ったらしいので、簡略化されて、実抜計画、合実計画とよばれています。
再生計画や改善計画を金融機関に提出した際に金融機関が見るところは、原則、この実抜計画や合実計画に沿った内容となっているか否かです。
基本的に金融庁側は債務者企業を応援しなさいよ、という方針ですから、これに反することは金融機関側はやりづらい。
ではどういった場合に応援しなければならないか、というところで実抜計画を出しているかどうか、出せるかどうか、が大きな分岐点になるわけですね。
さらに中小企業の場合は合実計画でもかまわない、とされています。(このくだりで勘が良い方は実抜計画よりも合実計画の方が緩いものだな、ということがわかるかもしれませんね。)
言い換えると金融機関としてはこの実抜計画がなければ債務者企業を応援しない、支払猶予などに応じない、ということになってしまうわけですから、大変重要な資料になるわけです。
支払猶予をお願いする立場としては、お願いされる金融機関側の事情も汲み取って、対応さしあげるのがお互いにとってWIN-WINの関係になり、近道です。
実抜計画の金融機関用、リスケ用の資料の側面について説明してきましたが、きちんとした経営再建計画を作ることは、その企業さん自身のためになる、必要であることはいうまでもありません。
作らされている、という意識で作成するのは非常にもったいないです。時間も手間も大変かかる作業ですので、自分のためにという意識で取り掛かった方が、やる気になりますし、実際に経営の役に立ちます。
さて、ではその「実現可能性の高い抜本的な」や「合理的かる実現可能性の高い」とは一体なんなのか。
そのままでは曖昧すぎる言葉なので、見ただけではわかりません。具体的な内容は金融庁が出している監督指針やマニュアル、資産査定用のチェックリストに記載があります。
少々長くなりましたので、次回からこの指針やマニュアル、チェックリストなどを見ていくことにします。
池田
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