経営コンサルタントコラム 2012年10月16日号

再生局面では手形に注意(2)

◆手形を振り出す、受け取る意味

 

さて、手形を振り出す、手形で支払うのはなぜか、というところをおさらいすると、現金の支払を先延ばしにできる、期限の利益を得るため、でした。

 

現金の流出を一時的に避けられるわけですから、キャッシュフローの調整弁としては有用です。ただ、支払を先延ばしにするわけですから、手形を振り出すためには、振り出す会社が将来(支払期日に)ちゃんと支払ってくれることが担保される、いいかえれば会社の信用力が必要になります。なので、設立したばかりの会社など信用力が十分でない会社は当座を開けられず、手形も振り出せないことになります。

 

逆に、手形を受け取った側からすると、すでに商品を販売したり、サービスを提供しているにもかかわらず、すぐにお金が貰えないわけですから、仕入代金等の支払原資がありません。そのため、仕入先などへの支払について、融資を受けて賄ったり(いわゆる運転資金になりますね)、自らも手形を振出して支払ったり、はたまた受け取った手形を割引して現金化したりして掛かった費用を支払うことになります。

 

勘定科目ですと、手形を受け取れば受取手形、振り出せば支払手形という形で表わされます。

 

 

◆手形が不渡りになると。。

 

前回お話しした通り、手形は6か月以内に2度不渡りを出すと銀行取引停止となります。一般的にこれを倒産といいます。倒産となると、会社の信用状況が著しく悪化します。また、当然に手形の振出しはできなくなります(手形は会社の信用に基づいていますので仕方ないですね)。

手形の振出しができなくなると、取引は現金決済のみになりますから、手もと資金に相当な余裕がないと商売を続けていくのが難しくなります。

そもそも不渡りを出す、ということは決済資金が用意できなかったということですから、そのような状況で手もと資金が潤沢なわけがありません。ついては事業として続けていくことが困難になり、事業停止状態に陥ります。また、金融借入等については、契約上の期限の利益喪失事由に当てはまり、一括弁済を迫られることになります。

 

たとえ翌日に入金予定があったとしても、その時(決済日)に資金の用意ができなければ、不渡りになり、上記のようなことが現実となるわけですから、かなりシビアーな問題なのはわかりますね。

 

買掛金の支払が少々遅れても、これほどの問題にはなりません(噂では「あそこ資金繰りキツイらしいよ」等広がるかもしれませんが)。手形がコワイのは、一瞬にして上記のような状況になるところです。

 

今回はここまで。

次回は具体的な注意点、振り出したり割引いたりしている場合にすべきこと、についてお話します。

 

池田

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