事業再生コンサルコラム 2020年8月4日号

受動喫煙防止と喫茶店

今回の事業再生コンサルコラムは、受動喫煙防止条例のお話です。

改正健康増進法、東京都では受動喫煙防止条例が今年4月に全面施行され、街の飲食店、特に喫茶店の様相がだいぶ変わってきました。タバコ可だったお店が吸えなくなり、タバコ目当てのお客さんが減少、かといって非喫煙者の来店が増加したわけでもなく、結果全体来客数が減少しているようです。

 

とはいえ、新コロナ感染症の流行で、喫煙室自体がいわゆる「3密」の温床のような蔑まれかたをされているところ、喫煙できるようにするにも大手を振って動けずという難しい状況です。

ともあれ、タバコの吸える場所がどんどん無くなり、喫煙者の肩身はせまいですね。(私はタバコやめましたが気持ちは察します)

 

建物所有者の対応義務と例外

 

さて、恨み節を言っていても始まりませんので、全面施行により、管理権限者(施設の所有者等)の方が責務としてやらねばならぬことをチェックしておきましょう。

 

・喫煙器具、設備の撤去(灰皿などですね)

・喫煙者への喫煙の中止等の依頼(禁煙場所で吸うような輩を追い出す)

・標識の掲示(喫煙室がある場合、飲食店は店内禁煙の場合も掲示)

 

実施しないと違反となり、罰金を取られますので、管理会社まかせの大家さんなどはご注意を。

さて、全面禁煙で客足が遠のいたお店がどうやってお客さんに戻ってもらいましょうか。吸えるように戻すのが手っ取り早い解決策なわけですが、そんな簡単にまた吸えるようにできるものなのでしょうか。

 

受動喫煙防止条例が原則屋内禁煙であるならば、「原則」の「例外」があるわけでして、その点も含め吸える吸えないの別を、東京都の場合を例にざっくりおさらいしつつ、対応策を検討していくことにします。

 

《対象施設と喫煙可否》

1.敷地内禁煙〈第一種施設〉

(1)屋外に喫煙場所設置不可

   保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校 等

(2)屋外に喫煙場所設置可

   大学、医療機関、児童福祉施設(上記保育所等除く)、行政機関の庁舎、バス、タクシー、航空機

2.原則屋内禁煙〈第二種施設〉

(1)喫煙専用室内でのみ喫煙可

   上記1.以外の多数の者が利用する施設等。

   (例)老人福祉施設、運動施設、ホテル、事務所、船舶、鉄道

(2)禁煙・喫煙選択可

   従業員を使用していない飲食店・喫茶店等

3.喫煙可〈喫煙目的施設〉

(1)屋内公衆喫煙所

(2)喫煙を主目的とするバー、スナック等

   ※たばこの対面・出張販売している必要あり、軽飲食

(3)店内で喫煙可能なたばこ販売店

   ※たばこの対面販売、喫煙器具の販売をしている必要あり、飲食なし

 

当たり前ですが、ほとんど吸えませんね。吸えるのは喫煙所と喫煙室だけです。

 

 

タバコの吸える飲食店は可能か

 

さて、いちばん影響を受けているは飲食のかたと思いますので、飲食店について都の施設管理者向けハンドブックをみていきます。

(受動喫煙防止対策 施設管理者向けハンドブック)

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/kitsuen/leaflet/shisetsukanrihandbook.files/shisetsukanrisyahandbook.pdf

 

ハンドブックによれば、

 

■受動喫煙防止条例の対象は、、

飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設

■規制内容は、、

・屋内の喫煙室は、喫煙専用室または指定たばこ専用喫煙室の要件を満たす必要あり

・屋外は規制の対象外。ただし、喫煙場所をつくる場合は、受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮する必要あり

★従業員がいない飲食店

以下の①~④すべてを満たした店は店内の一部または全部を喫煙可能室とすることが認められています

1.2020年4月1日日時点で既に営業している

2.施設内の客席部分の床面積が100㎡以下

3.中小企業(資本金の額または出資の総額が5千万円以下)または個人経営

4.従業員(パート・アルバイト含、同居親族除)がいない(東京都独自ルール)

 

となっています。喫煙できるようにするには、ごく小規模のお店以外は喫煙専用室か指定たばこ専用喫煙室を作らないといけないようですね。

 

では喫煙専用室とはなにかというところですが、こちらは「たばこを吸うためだけの部屋」です。なので飲食など喫煙以外のことはできません。煙の流出防止策なども必要になります。いわゆる喫煙ブースですかね。ここならどんな種類のたばこも吸えます。

 

もう一つの喫煙室である、指定たばこ専用喫煙室ですが、こちらは「喫煙できる場所であり、喫煙以外のこともできる部屋」となっています。なので飲食等も可能です。無論、煙流出防止策の実施は必要です。

 

こちらにおいて吸えるたばこは「加熱式たばこ」のみとなっています。加熱式たばこが「指定」にかかっていることになりますね。なので、これまでのお茶しながらたばこが吸えたような環境を作るとしたらこちらの指定たばこ専用喫煙室を設ける格好になります。

 

とはいえ、これらの方法では店の全部を喫煙室にすることはできません。全部を喫煙可とするには、喫煙目的室と呼ばれる形態の要件を満たす必要があります。

 

喫煙目的室とは、その名の通り喫煙を目的とする場所のことです。こちらでしたらどんなたばこも吸えますし、軽い飲食などもできます。シガーバーやスナック、たばこ販売店が対象となっています。もちろん、煙の流出防止についても技術的な基準に適合していなければならないのはこれまでの喫煙室と同様です。

 

ただし、たばこ小売販売業の許可(たばこ事業法22条)、出張販売の許可(26条)が必要とされています。

 

これはおいそれとはいきません。全面喫煙にするためには、たばこ販売業の許可を取る必要があるとなると尻込みしがちですね。。そのなかでは出張販売の許可、が光明でしょうか。もしお知り合いに、たばこ販売店さんがいらしたら一度相談してみるのもいいかもしれませんね。許可が取れれば全面的にたばこ喫煙可能となります。たばこ目当てのお客さんも戻ってくるかもしれません。(許可の方法などはネットでも取得できるので、ご自身で調べてみてくださいね)

 

禁煙の時流に反するようですが、たばこを吸う人は一定数いて、そのかたがお客さんのほとんどであるならば、喫煙できるように考えていかなければお店は潰れてしまいます。(主目的はリラックス時間を過ごすことなので、コーヒー代は場代のようなもの。)

 

新コロナの流行で世の中これからどうなるかわからない、読みづらい流動的な環境となりました。

たばこだけでなく、補助金やら給付金やら自分でいろいろ調べて、やれることをやってみることが、なによりも大事な時代に入ったのかもしれませんね。

 

厳しい時代ですが、頑張ってまいりましょう!

 

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