事業再生コンサルコラム 2019年12月1日号

展示会訪問記#22 アグリ関連展示会

今回の事業再生コンサルコラムは、11月20日~22日に、東京有明のビッグサイトで開催されたアグリ関連の展示会訪問記です。ちょうど顧問先でアグリ関連の新商品を企画していることもあって、市場調査兼ね訪問してきました。

5つのアグリ関連展示会が開催

さて、今回のアグリ関連展示会では、以下の展示会が催されていました。

 

・アグロイノベーション2019

・野菜果物ワールド2019

・アグロビジネス創出フェア

・フローラルイノベーションEXPO2019

・鳥獣対策ジビエ利活用展

 

全5つですね。

面積的には、アグロビジネス創出フェアが一番広く、会場(西展示棟3,4ホール)全体の4割ほど。展示数的には約半分がアグロビジネスのブースでした。草刈り目当てに来ましたが、メインはアグロビジネスの展示会でしたね。

 

アグロビジネス創出フェアは、大学や行政、行政の研究機関などが、自分たちの取り組んでいる研究の発表を各ブースで行っているという内容です。

 

農業はもちろん、エネルギーや環境、食品、水産、畜産、林業と幅広い分野の展示がされており、当該分野に関する知識がない私にとっても大変興味深いものだった一方、本来のテーマである「ビジネス創出」に関すること、同ビジネスにつなげるか、といった展示内容はほぼありませんでした。

 

「研究テーマを展示するから、見に来たビジネスマンに仕上げてもらおっ」的な催しだったのかもしれません。ただ、大学の場合は、研究ってビジネス需要から引っ張ってというより、研究として面白そうだからやってる側面が強いかなと思うので、そもそもうまく噛み合わないような気がするんです。採算面ですとか。

 

その点では市場に近い自治体の農業研究センターなどが、地域の大学と連携したり、いろいろと活躍の場が広がりそうですね。

 

農業とロボット、ドローン活用

展示されているなかでは、筑波大学のトマト収穫ロボットが興味深いものでした。このロボットは、どこにあるどのトマトが収穫時なのか、糖度計や画像認識で判断するとともに、記録していくというもので、人の農作業負担軽減を目的にしています。今後の広がりという視点では、どう育てるか、といったところも含めて作物栽培全体のAI化にまでいたる研究になるのではないかと感じています。

他、アグロイノベーションが40ブース、ジビエが37ブース、野菜果物が29ブース、草刈り除草が25ブース出されていました。

アグロイノベーションは、いわゆるスマート農業関連の展示です。農業用ドローンや、工場機械関連ですね。

 

ドローンについては、結構関心が高いようで、説明員の話を聞く人が途切れることがない様子でした。

使いみちとしては、農薬散布が中心です。ただそれだけだとラジコンヘリとなんら変わらない(エンジンがモーターになったくらい)ような気もします。

ラジコンに比べ飛行が安定している気がするので、農作地の上空画像を撮るなどして、画像解析から全体生育の把握などに進めたら面白いかもしれませんね。

機械系は梱包機械や選別機などが出ていました。

鳥獣対策とジビエ

鳥獣対策、ジビエ利活用展は、狭いエリアの中にたくさんの業者や行政のブースが出ていました。

特に国や地方自治体の行政が多く、目立っていました。

業者さんは捕獲用ワナや監視のシステム(センサーついてるIoT的なやつ)の展示ですね。

しかしなぜジビエ?というところで、農水省のブースにいた説明員のかたにその理由を聞いてみました。

それは、2つの理由があるそうです。

ひとつは、

 

農業人口の減少

里山に入る人の減少

動物と人の境界が人側に近づいてきた

動物と人が接触、農作物被害

 

という農業人口減少からの流れ。

もう一つは、

 

動物の住むエリアでどんぐりなどの餌が不足

餌を探して山を降りてくる

人との境界線を超える動物も出てくる

農作物被害

 

というそもそも餌不足からくる流れ、とのこと。

 

農作物被害に合うので、駆除していたわけですが、駆除しても食べきれるものでもなく(そもそも地域人口が減っているので)山へ大量に廃棄していたとのこと。

それももったいないよね、どうせなら地方活性化みたいなものに使えんかね?ということでの、お国旗振りのジビエ・ブーム作りのようです。

 

実際、効果も現れていて、ジビエの利用量は年々増えています。

 

H28年 1,283トン(89,230頭)

H29年 1,629トン(96,907頭)

H30年 1,887トン(114,655頭)

 

大手スーパーなどの流通にも載せたいし、一部載せているようですが、供給の安定が求められるとまたしんどいでしょうね。お上のお達しに協力ベースならいざしらず。すごい人気が出て、供給するために取り尽くしたりしては元も子もありませんから、さじ加減が難しいですね。

ちなみに、農水省ではジビエ認証制度などを設けてトレーサビリティーを確保、品質にも気を配っています、とのことでした。

 

 

草刈り機の展示も

 

野菜果物ブースに目を向けますと、こちらは鮮度維持が各社テーマの中心のようです。

野菜や果物はどうしても腐りますからね。余りは廃棄でコストそのものですから、消費期限が伸ばせれば伸ばせるほど、企業側としてはありがたい話です。ただ、変な薬剤とかちょっと勘弁してほしいところでもあります。口に入るものですからね。

 

草刈り系について、ロボット芝刈り機や大型芝刈り機などの展示がされていました。また、こちらは安全性に配慮した刈り刃の展示もありました。

ともにゼネコン向けに効率性(人が要らない、早く広い面積を刈ることができる)や、安全性を訴求されていました。たしかに土木建設系の仕事に草刈りはありますね。ただ、ずーっと使うものでもないので、直接買うというより、レンタル・リースで一時的に利用する感じでしょうか。

 

安全な刈り刃は、エンジンやモーターを止めた後にすぐ羽の回転が止まるというもので、機械的にそれを実現しているとのこと。少しお話を聞きましたが、デファレンシャルギヤっぽい構造で面白いものでした。とはいえ、構造が複雑なのでそこそこお値段する感じは否めません。

刈り刃は数百円から高くて2、3千円のものですし、刃が減ることも鑑みると、いくら安全でも値段が高いと売れないと思います。売り方については少し頭をひねらないといけないかもしれませんね。

全体的には、研究系の発表会のような展示会でしたが、各所興味深いものもありました。

これをどう売上につなげていくのか、ビジネスのどうのせるかが課題に見えた展示会でした。

 

以上

 

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