経営コンサルタントコラム 2016年1月8日号

相続放棄の実務(3)放棄できる期間は限られている

3.相続放棄できる期間は限られている

 

さて、相続放棄をするには家庭裁判所に放棄をする旨の申述をする必要があります。

この申述、という手続きが相続放棄の手続きになります。

限定相続についてもこの手続きが必要ですが、単純相続については不要です。

 

なので、手続きをせず放っておくと、単純相続となります。

 

放っておくと単純相続してしまうわけなので、申述する期間が大事になってきます。

こちら、自分のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければいけません。

 

民法

第四章 相続の承認及び放棄

第一節 総則

(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

 

子供や配偶者(亡くなった人の妻ですね)は普通亡くなったことをすぐに知りますから、亡くなってから3か月以内に放棄の手続きをしないと、放棄することができないことになってしまいます。

 

申述できるはあくまで相続人、ですので第一順位の相続人が全員放棄して、次順位に回ってきたような場合は、放棄されて自分が相続人になったことを知った日から3か月以内ということになります。

 

ちなみに第一順位の相続人は子。第二順位の相続人は親と祖父祖母(直系尊属といいます)、第三順位の相続人は兄弟姉妹です。相続人は第三順位までで、それ以上の人が相続することはできません。

 

70歳の親が亡くなるような場合だと、第二順位の相続人というのはあまり出現しないでしょうね。年齢的に90歳以上になりますから。最近は長寿の方も多いので無いわけではないとは思いますが。

 

なので、次順位を考慮するとなると、第三順位の兄弟姉妹、ということになります。(子から見たらおじやおば)実務的には、ここ(おじさんやおばさん)への説明が大変ですね。

 

ただ、この3か月の縛りですが、放棄という手続きがあること自体を知らないで3か月過ぎたら、もうできない!、ということですから、なかなかにきびしい設定です。

 

たまたま私はコンサルタントなんて仕事をしているので、このへんの知識があったからよいものの、知らなければウン億の債務をいきなり背負うことになるわけです。

浅い知識で、家族だけ放棄したら知らぬおじさんやおばさんに債務が降ってきた、なんてことにもなりかねません。

 

これはどうかと思いますよね。

法律でそうなっているので刃向かいようがありませんが。

 

債務超過の場合は原則相続しない、など法律自体の改正が必要な気もします。

でないと無知による負の連鎖が発生し、何も悪いことをしていないのに借金地獄に陥ってしまうような不幸を食い止めることができません。

 

立法府である政治家の皆様には、ちょうど民法改正のタイミングでもありますし、その点ご検討いただきたいですね。

 

※3か月の間に放棄するか判断がつかないような場合は、裁判所に申立てることにより、期間を延ばしてもらうこともできます。

 

というわけで、四十九日法要が済んだあたりから、具体的に放棄の手続きを始めることにしました。

 

(つづく)

 

連絡先イメージ
問題解決画像池田輝之

中小企業経営者に寄り添ったコンサルティングを行っています。資金繰りからM&Aまで、経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

ご相談はこちらから

無料ダウンロード

経営改善計画書書式
資金繰り表書式

人気コラムTOP5 (前月)

セキュリティ対策自己宣言ロゴ